人材育成を適切に行えば、社員の職能やキャリアアップへのモチベーションを高めることができます。社員の能力が向上すれば生産性も増し、企業の永続的な発展も期待できて、まさに一石二鳥です。
この記事では、人材開発支援助成金についてわかりやすく解説します。募集要項や、募集スケジュール、申請・手続き方法を説明した上で、よくある質問にもお答えします。
人材開発支援助成金とは?わかりやすく解説
対象者 | 助成金は、次のイからニまでのいずれにも該当する事業主等に対して支給する。
イ 雇用保険適用事業所の事業主(雇用保険被保険者が存在する事業所の事業主であること) ロ 助成金の支給又は不支給の決定に係る審査に必要な書類等を整備、保管している事業主等 ハ 助成金の支給又は不支給の決定に係る審査に必要であると管轄労働局の長(以下「管轄労働 局長」という。65歳超雇用推進助成金については「機構の理事長」(以下「機構理事長」と いう。)と読み替えるものとする。以下同じ。)が認める書類等を管轄労働局長の求めに応じ 提出又は提示する、管轄労働局の実地調査に協力する等、審査に協力する事業主等 ニ 「第2 各助成金別要領」に定めがある場合は、各助成金ごとに定める要件を満たす事業主 等 |
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利用目的 | 雇用する労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職務に関連した専門的な知識及び技能を修得させるための職業訓練等を計画に沿って実施したり、教育訓練休暇制度を適用した事業主等に対して助成する制度です。 |
対象経費 | I 特定訓練コース 雇用する正社員に対して、厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練、若年者への訓練、労働生産性向上に資する訓練等、訓練効果の高い10時間以上の訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成II 一般訓練コース 雇用する正社員に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための20時間以上の訓練(特定訓練コースに該当しないもの)を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成 III 教育訓練休暇等付与コース IV 特別育成訓練コース V 建設労働者認定訓練コース VI 建設労働者技能実習コース ・能開法に規定する技能検定試験のための事前講習 ・建設業法施行規則に規定する登録基幹技能者講習など VII 障害者職業能力開発コース ・障害者職業能力開発訓練運営費(人件費、教材費等) Ⅷ 人への投資促進コース |
給付額 | ■特定訓練コース OFF-JT 賃金助成 1人1時間当たり 760円<960円>(380円<480円>)OJT 実施助成 1人1時間当たり665円<840円>(380円<480円>) 経費助成 対象経費の45%<60%>(30%<45%>) ■一般訓練コース 経費助成 対象経費の30%<45%> ◆〈 〉は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は大企業の額です。 ◆特定分野認定実習併用職業訓練を実施する場合などは、経費助成率が変わります。 ◆賃金助成、実施助成は所定労働時間内の訓練に限ります。 ◆事業主団体等が申請する場合は、経費助成のみとなります。 訓練時間 ①特定訓練コース ②一般訓練コース10時間以上100時間未満 15万円(10万円) 7万円 100時間以上200時間未満 30万円(20万円) 15万円 200時間以上 50万円(30万円) 20万円 特定訓練コース ◆経費助成は、訓練時間に応じて次の額を上限としています。 賃金助成 1人1時間当たり 760円〈960円〉 (380円〈480円〉) ◆ ( )内は大企業の額です。 ◆1労働者が対象訓練を受講できる回数は、年間職業能力開発計画期間内に3回までです。 ◆1事業所が1年度に受給できる限度額は、特定訓練コースを含む場合は1,000万円、一般訓練 コースのみの場合は500万円です。 ◆助成率・額の詳細や生産性要件については、詳細版パンフレットをご確認ください。 _______________________ ■教育訓練休暇付与コース ・教育訓練休暇制度の場合 ・長期教育訓練休暇制度の場合 経費助成 20万円(生産性要件を満たす場合24万円) _______________________ ■特別育成訓練コース ・一般職業訓練 OFF-JT 経費助成:1人当たり 実費 ・有期実習型訓練 賃金助成:1人1時間当たり760円<960円>(475円<600円>) 経費助成:1人当たり 実費 OJT 760円<960円>(665円<840円>) ・中小企業等担い手育成訓練 OFF-JT OJT 760円<960円>(665円<840円>) |
申請期間 | 各助成金別要領において各助成金ごとに定める日の翌日から起算して2か月以内 |
人材開発支援助成金は、正規雇用者の人材育成に積極的に取り組む中小企業事業主や、小規模事業者等を助成する制度です。職務に関連する訓練や研修などを受講する際に必要となる経費や、訓練期間中の給与などが助成対象となります。
正規雇用者の職能やキャリアアップへの意欲を向上させ、企業の永続的な発展を目標としています。
2022時点で8つのコースが設けられており、その中から実施したい訓練内容に適したコースを選びます。
特定訓練コース
若年人材育成訓練等に利用できる、実地研修と机上研修を組み合わせた研修コースです。生産性向上、技能承継、グローバル人材育成の訓練などが対象となります。
一般訓練コース
社員研修や企業研修などに活用できるコースで、机上訓練のみが対象となります。受給には、訓練開始年度の前年及びその3年後の生産性を比較し、生産性要件を満たす必要があります。
教育訓練休暇付与コース
有給教育訓練休暇制度を導入して、従業員がこの休暇を取得して訓練を受講した場合に助成金が支給されるコースです。
特別育成訓練コース
一般職業訓練、有期実習型訓練、通信制の訓練など、机上、実地問わず助成の対象となるコースです。以前はキャリアアップ助成金の人材育成コースとして交付されていましたが、人材開発支援助成金に整理統合されました。
人材開発支援助成金の募集要項
対象者
助成金は、次のイからニまでのいずれにも該当する事業主等に対して支給する。
イ 雇用保険適用事業所の事業主(雇用保険被保険者が存在する事業所の事業主であること)
ロ 助成金の支給又は不支給の決定に係る審査に必要な書類等を整備、保管している事業主等
ハ 助成金の支給又は不支給の決定に係る審査に必要であると管轄労働局の長(以下「管轄労働 局長」という。65歳超雇用推進助成金については「機構の理事長」(以下「機構理事長」と いう。)と読み替えるものとする。以下同じ。)が認める書類等を管轄労働局長の求めに応じ 提出又は提示する、管轄労働局の実地調査に協力する等、審査に協力する事業主等
ニ 「第2 各助成金別要領」に定めがある場合は、各助成金ごとに定める要件を満たす事業主 等
利用目的・事業目的
人材開発支援助成金(制度導入助成)は、事業主または事業主団体等が継続して人材育成に取り 組むために、以下のいずれかの人材育成制度を新たに導入し、その制度に基づき被保険者に実施し た場合に、一定額を助成する制度です。
申請要件
1 雇用保険適用事業所の事業主であること。
2 労働局長が認定した制度導入・適用計画に基づき「その計画期間内に」人材育成 制度を新たに導入し、その制度を雇用する被保険者に適用した事業主であること。
3 労働組合などの意見を聴いて事業内職業能力開発計画を作成し、雇用する労働者 に周知している事業主であること。
4 職業能力開発推進者を選任している事業主であること。
5 制度導入・適用計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日 までの間に、雇用する被保険者を解雇等事業主都合により離職させた事業主以外の事業主であ ること。なお、解雇等とは、労働者の責めに帰すべき理由による解雇、天災その他やむを得な い理由により事業の継続が不可能となったことによる解雇以外の解雇に勧奨退職等を加えたも のであって、被保険者の資格喪失確認の際に喪失原因が「3」と判断されるものであること。
6 制度導入・適用計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から支給申請書の提出日 までの間に、雇用保険法第23条第1項に規定する特定受給資格者(以下「特定受給資格者」と いいます。)となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由により離職 した者(以下「特定受給資格離職者」といいます。)として同法第13条に規定する受給資格の 決定が行われたものの数を、当該事業所における支給申請書提出日における被保険者数で除し た割合が6%を超えている(特定受給資格者として当該受給資格の決定が行われたものの数が 3人以下である場合を除く。)事業主以外の者であること。
7 当該制度導入・適用計画の適用を受ける期間、適用される被保険者に対し所定労働時間労働 した場合に支払われる通常の賃金の額を支払う事業主であること。(ただし、無給の教育訓練休暇等制度を除く。)
8 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要な書類などを整備、5年間保存している 事業主であること。
9 助成金の支給または不支給の決定に係る審査に必要であると管轄労働局長が認める書類など を管轄労働局長の求めに応じ提出または提示する、管轄労働局長の実地調査に協力するなど、 審査に協力する事業主であること。
対象経費
I 特定訓練コース
雇用する正社員に対して、厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練、若年者への訓練、労働生産性向上に資する訓練等、訓練効果の高い10時間以上の訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成
II 一般訓練コース
雇用する正社員に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための20時間以上の訓練(特定訓練コースに該当しないもの)を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成
III 教育訓練休暇等付与コース
有給教育訓練休暇等制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し、訓練を受けた場合に助成
IV 特別育成訓練コース
有期契約労働者等の人材育成に取り組んだ場合に助成
V 建設労働者認定訓練コース
・認定職業訓練または指導員訓練のうち建設関連の訓練
VI 建設労働者技能実習コース
・安全衛生法に基づく教習及び技能講習や特別教育
・能開法に規定する技能検定試験のための事前講習
・建設業法施行規則に規定する登録基幹技能者講習など
VII 障害者職業能力開発コース
・障害者職業能力開発訓練施設等の設置等
・障害者職業能力開発訓練運営費(人件費、教材費等)
Ⅷ 人への投資促進コース
デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
給付額
■特定訓練コース
OFF-JT 賃金助成 1人1時間当たり 760円<960円>(380円<480円>)
OJT 実施助成 1人1時間当たり665円<840円>(380円<480円>)
経費助成 対象経費の45%<60%>(30%<45%>)
■一般訓練コース
OFF-JT 賃金助成 1人1時間当たり 380円<480円>
経費助成 対象経費の30%<45%>
◆〈 〉は生産性の向上が認められる場合の額、( )内は大企業の額です。
◆特定分野認定実習併用職業訓練を実施する場合などは、経費助成率が変わります。
◆賃金助成、実施助成は所定労働時間内の訓練に限ります。
◆事業主団体等が申請する場合は、経費助成のみとなります。 訓練時間 ①特定訓練コース ②一般訓練コース 10(20※)時間以上100時間未満 15万円(10万円) 7万円 100時間以上200時間未満 30万円(20万円) 15万円 200時間以上 50万円(30万円) 20万円 特定訓練コース
◆経費助成は、訓練時間に応じて次の額を上限としています。 賃金助成 1人1時間当たり 760円〈960円〉 (380円〈480円〉)
◆ ( )内は大企業の額です。
◆1労働者が対象訓練を受講できる回数は、年間職業能力開発計画期間内に3回までです。
◆1事業所が1年度に受給できる限度額は、特定訓練コースを含む場合は1,000万円、一般訓練 コースのみの場合は500万円です。
■教育訓練休暇付与コース
・教育訓練休暇制度の場合
制度導入・実施助成 30万円(生産性要件を満たす場合36万円)
・長期教育訓練休暇制度の場合
賃金助成 6,000円(生産性要件を満たす場合7,200円)
経費助成 20万円(生産性要件を満たす場合24万円)
■特別育成訓練コース
・一般職業訓練 OFF-JT
賃金助成:1人1時間当たり 760円<960円>(475円<600円>)
経費助成:1人当たり 実費
・有期実習型訓練
OFF-JT
賃金助成:1人1時間当たり760円<960円>(475円<600円>)
経費助成:1人当たり 実費
OJT
実施助成:1人1時間当たり
760円<960円>(665円<840円>)
・中小企業等担い手育成訓練
OFF-JT
賃金助成:1人1時間当たり760円<960円>(475円<600円>)
OJT
実施助成:1人1時間当たり
760円<960円>(665円<840円>)
申請期間
各助成金別要領において各助成金ごとに定める日の翌日から起算して2か月以内
人材開発支援助成金の募集スケジュール
人材開発支援助成金は、期間の定めはなく通年募集されています。
ただし、訓練計画の提出は訓練開始日の前日から数えて1ヶ月前までに。支給申請書は訓練終了後2ヶ月以内に、自社所在地を管轄する労働局に訓練計画届及び必要書類を提出する必要があります。
人材開発支援助成金の申請・手続き方法
人材開発支援助成金を受給するために、まずは職業能力開発推進者を選任し、訓練計画を作成します。
その後、自社所在地を管轄する労働局に訓練計画届及び必要書類を提出してから、訓練を実施します。訓練終了後に支給申請書を提出し、審査を受けます。
必要書類
人材開発支援助成金の申請手続きを行う際には、訓練受講にまつわる経費が確認できる書類、訓練実施施設利用料の支払いが確認できる書類、社内講師の訓練日における出勤状況が確認できる書類、訓練で使用した教材の内容がわかるもの、事業外訓練受講経費の支払いが確認できる書類などが必要となります。
人材開発支援助成金のQ&A
人材開発支援助成金にメリット・デメリットはありますか?
人材開発支援助成金は、人材育成に関する費用の負担を軽減します。原則返済不要なため、人材育成に取り組みたくても費用の問題で躊躇っていた事業主にとって大きなメリットがあります。
デメリットは、申請に手間がかかり受給までに時間がかかることです。また、助成金は後払いであるため、人材育成にかかる費用を一時的に負担しなければなりません。資金に余裕がない場合の活用は難しいでしょう。。
人材開発支援助成金と併給可能な助成金はありますか?
有期雇用労働者などを正規雇用することで受給できるキャリアアップ助成金と、正規雇用者の人材育成にかかる費用を支援する人材開発支援助成金のように、活用用途が異なれば、正規雇用への転換を機に併給することができます。
人材開発支援助成金は外国人雇用時に活用できますか?
外国人労働者であっても正規雇用されていれば、訓練や研修を受講する際にかかった経費や、訓練期間中の給与に対して活用できます。
人材開発支援助成金の相談窓口はどこですか?
人材開発支援助成金の相談窓口は、自社所在地を管轄する労働局です。詳細は厚生労働省が運営する人材開発支援助成金のサイトにて確認してください。