人材開発支援助成金のメリット・デメリット

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正規雇用者のスキルとモチベーションを高めるため、人材育成に積極的に取り組みたいと考えている事業者が活用できる制度に、人材開発支援助成金があります。

原則返済の必要がないお金で、従業員に訓練や研修を受講させられるなんてメリットしかないように思われますが、本当にデメリットはないのでしょうか?

この記事では、人材開発支援助成金のメリット・デメリットについて解説します。

 

人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金とは、正規雇用者の育成に積極的な中小企業事業主や小規模事業者等を支援する制度です。

正規雇用者が職務に関連した訓練や研修を受講する際にかかる経費や、訓練期間中の給与などが助成対象となります。

令和4年度に制度見直しが行われて新設された「人への投資促進コース」を含め、大きく分けて8つのコースが設けられています。

 

人材開発支援助成金の4つのメリット

①費用負担を抑えて人材育成できる

訓練や研修費、訓練期間中の給与などを人材開発支援助成金で補うことができるため、人材育成費用の負担を抑えることができます。

これまで費用の問題で人材育成に取り組めなかった事業者にとって、大きなメリットとなります。

 

②正規雇用者のキャリアアップに繋がる

人材育成に積極的に取り組むことで、正規雇用者の職能が高められます。そして自身のスキルアップを自覚した正規雇用者のモチベーションは上昇。以降はキャリアアップに対する意識が高まり、自発的な技術や知識の修得も期待できるでしょう。

 

③生産性が向上して業績が伸びる

正規雇用者の職能が向上すれば、企業の生産性が高まります。また、人材育成に積極的な雇用者の元であれば、労働者のモチベーションも自然と上がります。

このように、人材開発支援助成金は労働者、雇用者双方にメリットの大きい制度です。

 

④原則返済不要のお金を受け取れる

人材開発支援助成金は、融資とは異なり原則返済不要のお金を受け取ることができます。また、雑収入として計上が可能なため、本業以外の収益として取り扱われます。

返済の心配がないため、思い切った人材育成に取り組めるのが人材開発支援助成金のメリットです。

 

人材開発支援助成金の4つのデメリット

①申請手続きに手間がかかる

人材開発支援助成金を受給するためには、申請手続きが必要です。この手続きは訓練実施の限られた期間に行わなければならず、必要書類も多く手間がかかるため忌避される傾向にあります。

本業が忙しく手続きに時間をかけられないという事業者にとって、この点がデメリットとなるでしょう。

 

②後払いのため費用の立て替えが必要

人材開発支援助成金をはじめとする助成金や補助金は、計画が承認されてから訓練を実施し、その間に支払った経費は立て替えておき、事業終了後に受給する仕組みです。

そのため経費を立て替えるだけの資金がないという事業者は、活用するのが難しいです。

 

③訓練・研修中の人手不足

正規雇用者に訓練や研修を受講させる間も、事業が停止するわけではありません。通常通り業務は行わなければならず、訓練実施中の間、人手不足が発生する点がデメリットです。

人材開発支援助成金を活用する際は計画的に、人材を確保してから行いましょう。

 

④年度やコースによって要件が異なる

人材開発支援助成金は、年度によって申請要件が変更されます。また、制度の見直しでコースが新設されたり廃止されたりといったこともあります。

訓練計画を作成するタイミングで募集要項を隅々まで確認しなければならず、手間がかかる点がデメリットです。

 

人材開発支援助成金の特徴を理解して活用しよう

正規雇用者のスキルとモチベーションアップに欠かせない人材育成ですが、実際に取り組むには費用の面でハードルが高いものです。その点、訓練や研修を受講する際にかかる費用を抑えることができる人材開発支援助成金は、企業の成長にとって大きな力となり得ます。

人材開発支援助成金のメリット・デメリットを正しく理解して、活用を検討してみてくださいね。