農業・農家が活用できる補助金・助成金9選【 最新版 】

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政府より農家が活用できる補助金・助成金が交付されています。

その中でも特に農業が対象であり、近年農業家の課題とされる人材確保や労働環境の改善など、幅広い方が活用しやすいであろう補助金・助成金を9つ選んで紹介します。

農業にとって補助金・助成金は、農作業を自動化する機械や設備への投資、労働環境の改善や人材確保と育成、生産性の向上などの費用を補うことができ、多くのメリットがあります。

特に、近年活用事例の多いスマート農業の導入を検討されている方や、人材確保に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

販路開拓

ものづくり補助金(一般型)

「ものづくり補助金」は、新サービスの導入や、設備投資、試作品の開発など、生産性の向上に取り組む中小企業や小規模事業者を支援する制度です。

機械設置、システム構築費は1点あたり税抜50万円以上の設備投資が必須とされています。なお、一般型の補助上限は1,000万円で、返済の必要はありません。

近年では、農業に情報通信技術(ICT)やロボット技術といったデジタルシステムを導入する計画に多く活用されています。

対象者 日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者及び特定非営利活動法人
給付額 100万円~1,000万円
申請期間 1次 令和2年~3/31
2次 令和2年4/1~5/20
3次 令和2年5/21~8/3
4次 令和2年8/4~12/18
5次 令和2年12/19~令和3年2/22
6次 令和3年2/23~5/13
7次 令和3年5/14~8/17
8次 令和3年9/1~11/11
9次 令和4年2月頃〜

設備投資

持続化補助金(一般型)

「持続化補助金(=小規模事業者持続か補助金)」は、販路開拓や業務効率化のための費用の一部を支援する制度です。

一般型の上限金額は50万円で、市区町村が行う特定創業支援等事業の支援を受けた小規模事業者は上限金額が100万円に引き上げられます。

系統出荷による収入のみの個人農業者は持続化給付金の対象外とされているが、生産した農作物を直接消費者に販売し収入を得ていれば、農業者であっても制度の対象となります。

対象者 宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業
(常時使用する従業員の数 5人以下)宿泊業・娯楽業
(常時使用する従業員の数 20人以下)製造業その他
(常時使用する従業員の数 20人以下)※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。
給付額 補助率3/4
補助上限額100万円
申請期間 第1回受付締切日 2020年 3月31日(火)(郵送:締切日当日消印有効)
第2回受付締切日 2020年 6月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第3回受付締切日 2020年 10月2日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第4回受付締切日 2021年 2月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第5回受付締切日 2021年 6月4日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第6回受付締切日 2021年10月1日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第7回受付締切日 2022年 2月 4日(金)(郵送:締切日当日消印有効)

IT化

IT導入補助金(通常枠)

「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者が生産性向上を目的としたITツールを導入する際にかかる経費を補助する制度です。

農業では体力的な負担の大きい重作業が多く、人的資源の確保や省力化が課題でしたが、近年は最先端技術を取り入れたスマート農業が発展し、農業現場へのロボットの導入や、農作物管理施設の自動化など、農業者にとってIT技術の活用は欠かせません。

IT導入補助金は農業者が活用しやすい補助金といえるでしょう。

対象者 中小企業・小規模事業者
給付額 A類型
30万円~
150万円未満B類型
150万円~
450万円以下補助率1/2
通常枠はソフトウェア費のみ
申請期間 2021年
1次締切分 2021年5月14日(金)
2次締切分 2021年7月30日(金)
3次締切分 2021年9月30日(木)
4次締切分 2021年11月17日(水)
5次締切分 12月中予定

 

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人材育成・雇用

中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)

「中途採用等支援助成金」は、中途採用者の雇用管理制度を整備して、中途採用の拡大に努めた事業主に対して助成する制度です。

中途採用者を雇用することで、生産性の向上に取り組むことを目的としています。

中途採用計画を作成して管轄の労働局に提出し、計画期間中に支給対象者である労働者を雇い入れ、支給申請期限までに手続きをすることで活用できます。

農業の規模拡大や、高齢化が進む農業者の後継者の育成など、人材確保が課題となりがちな農業者にとって活用しやすい助成金です。

対象者 次の (1) ~ (5) のいずれにも該当する方

  1. 申請事業主に、中途採用により雇い入れられた方
  2. 雇用保険の一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れられた方
  3. 期間の定めのない労働者(パートタイム労働者を除きます)として雇い入れられた方
  4. 雇入れ日の前日から起算してその日以前1年間において、雇用関係、出向、派遣又は請負により申請事業主の事業所において就労したことがない方
  5. 雇入れ日の前日から起算してその日以前1年間において、申請事業主との関係が資本的・経済的・組織的関連性等からみて独立性を認められない事業主に雇用されていた方でないこと
給付額
・中途採用率の拡大
50〜70万円
(うちこれまで中途採用を行ったことがない場合、上記に加えて10万円)
・45歳以上の方の初採用
1事業所あたり60万円または70万円(※)
・情報公表・中途採用者数の拡大
中途採用者数拡大助成:1事業所あたり30万円
定着助成:上記に加えて1事業所あたり20万円

(※) 支給申請日において継続して雇用されている支給対象者の中に、雇入れ時の年齢が60歳以上であって、かつ雇入れ日から6か月以上経過している方がいる場合に、70万円を支給します。

申請期間
・【中途採用率の拡大】の支給申請期限
中途採用計画期間の終了日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内
・【45歳以上の方の初採用】の支給申請期限
支給対象者の雇入れ日(※)から起算して6か月経過する日の翌日から2か月以内

(※) 支給対象者が複数名の場合は、雇入れ日が最も早い方の雇入れ日を基準にします。

・【情報公表+中途採用者数の拡大】の支給申請期限
ア 中途採用者数拡大助成
支給対象者の雇入れ日(※1)から起算して6か月経過する日(※2)の翌日から2か月以内

(※1) 支給対象者が複数名の場合は、雇入れ日が最も遅い方の雇入れ日を基準にします。
(※2) 当該日は計画期間末日以前の場合は、計画期間の末日

イ 定着助成
アの支給申請の期間の6か月後の期間

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

「トライアル雇用」は、職業経験がなく技能や知識が不十分と判断され、就職が困難である求職者を3か月間試用雇用し、業務への適性があるか見極めた上で常用雇用に移行する雇用制度です。

「トライアル雇用助成金」は、トライアル雇用対象者の雇入れ日から最長3か月間、事業主に対して奨励金を助成し、就職困難な求職者の雇用機会を増やすことを目的としています。

適性が認められなかった場合事業主側からの契約解除が比較的容易で、人材確保が課題の農業において、雇用のハードルを下げることができるため積極的に活用したい制度です。

対象者
  1. 対象労働者がハローワーク、地方運輸局(船員となる場合)または職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という。)の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のイ〜ニのいずれにも該当しない者であること。
    1. 安定した職業に就いている者
    2. 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実動時間が30時間以上の者
    3. 学校に在籍している者(在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)
    4. トライアル雇用期間中の者
  2. 次のイ〜ヘのいずれかに該当する者
    1. 紹介日前2日以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者
    2. 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
    3. 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの
    4. 紹介日において、ニートやフリーター等で55歳未満である者
    5. 紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する次のa〜iまでのいずれかに該当する者
      1. 生活保護受給者
      2. 母子家庭の母等
      3. 父子家庭の父
      4. 日雇労働者
      5. 季節労働者
      6. 中国残留法人等永住帰国者
      7. ホームレス
      8. 住居喪失不安定就労者
      9. 生活困窮者
  3. ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  4. 原則3ヵ月のトライアル雇用をすること
  5. 1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間(上記(2)d、gまたはhに該当する者の場合は20時間)を下回らないこと)であること
給付額
  1. 本助成金の支給額は、支給対象者1人につき月額4万円です。※対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円となります。
  2. ただし、次のイまたはロの場合、その月分の月額は、それぞれに示す期間中に実際に就労した日数に基づいて次のハによって計算した額となります。
    1. 次のa〜bのいずれかの場合であって、トライアル雇用に係る雇用期間が1か月に満たない月がある場合
      1. 支給対象者が支給対象期間の途中で離職(次の(a)〜(b)のいずれかの理由による離職に限る)した場合
        離職日の属する月の初日から当該離職日までのトライアル雇用期間中に実際に就労した日数

        1. (a) 本人の責めに帰すべき理由による解雇
        2. (b) 本人の都合による退職
        3. (c) 本人の死亡
        4. (d) 天災その他のやむを得ない理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇
      2. トライアル雇用の支給対象期間の途中で常用雇用へ移行した場合
        常用移行への移行日の前日の属する月の初日から当該移行日の前日までのトライアル雇用期間中に実際に就労した日数
    2. 支給対象者本人の都合による休暇またはトライアル雇用事業主の都合による休業があった場合
      その1か月間に実際に就労した日数(ただし年次有給休暇等法令により事業主が労働者に対し付与を義務付けられている休暇は就労した日数とみなす)
    3. 支給対象期間中のある月において、支給対象者が就労を予定していた日数に対する実際に就労した日数の割合(A)が次表の左欄の場合、当該月の月額は右欄になります。

 

A = (支給対象者が1か月間に実際に就労した日数)

(支給対象者が当該1か月間に就労を予定していた日数)

 

(母子家庭の母等又は父子家庭の父以外の場合)
割合 月額
A ≥ 75% 4万円
75% > A ≥ 50% 3万円
50% > A ≥ 25% 2万円
25% > A > 0% 1万円
A = 0% 0円
(母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合)
割合 月額
A ≥ 75% 5万円
75% > A ≥ 50% 3.75万円
50% > A ≥ 25% 2.5万円
25% > A > 0% 1.25万円
A = 0% 0円
申請期間 ※トライアル雇用開始日から2週間以内に、対象者を紹介したハローワークに実施計画書を提出

※助成金を受給するためには、トライアル雇用終了日の翌日から起算して2ヵ月以内に、事業所を管轄するハローワークまたは労働局に支給申請書を提出する必要があります。

人材確保等助成金(雇用管理制度助成コース)

「人材確保等助成金」は、雇用管理制度を整備し、労働環境の改善を図り離職率の低下に取り組む事業者を助成する制度です。

雇用管理制度助成コースでは、研修・諸手当等・メンター・健康づくり・短時間正社員(保育事業主のみ)の内、いずれかの制度を導入し、対象事業所の雇用保険一般保険者の人数に対して定められた目標値以上に離職率を低下させることが条件となります。

導入する制度を選択することができ、政府による農業の研修等支援も充実しているため、農業家が活用しやすい制度といえるでしょう。

対象者 事業主(雇用管理制度助成コースにおいて短時間正社員制度を導入する場合は保育事業者)
給付額 57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)
申請期間 目標達成助成の支給申請(算定期間(計画期間終了後12か月間)終了後2か月以内)

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者やパートタイマー、派遣労働者などの非正規雇用者に対して、教育や訓練、待遇の改善を試み、キャリアアップを促す取り組みを行った事業主が助成される制度です。

正社員化コースは、非正規労働者を正社員として登用することが助成金給付の条件とされています。

優秀な人材を定着させるためキャリアアップを支援することは人材確保の面でも有効であり、農業でも活用できる助成金です。

対象者 雇用保険適用事業所の事業主
給付額 有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合

中小企業
①有期→正規 57万円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合72万円(1人当たり)
②有期→無期 28万5,000円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合36万円(1人当たり)
③無期→正規 28万5,000円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合36万円(1人当たり)

中小企業以外
①有期→正規 42万7,500円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合54万円(1人当たり)
②有期→無期 21万3,750円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合27万円(1人当たり)
③無期→正規 21万3,750円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合27万円(1人当たり)

申請期間 実際に賃金が支給された日の翌日から起算して2か月以内

業務改善助成金

「業務改善助成金」は、生産性を向上させる目的で設備投資や社員教育等の対策を講じ、事業所内で最も低い賃金を一定金額以上に引き上げた中小企業・小規模事業者に対して、取り組みに際しかかった費用の一部を助成する制度です。

農業であれば、農作業をオートマティックに行える機材を導入し、人的作業の時間や労力を削減、業務効率を改善するなどの対策が挙げられます。

労働者の安全確保や負担の軽減にも繋がるため、農業経営において活用しやすい助成金です。

対象者 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30円以内

事業場の中小企業・小規模事業者の事業場規模が100人以下

給付額 【事業場内最低賃金850円未満】
補助率4/5
生産性要件を満たした場合は
補助率9/10【事業場内最低賃金850円未満】
補助率4/5
生産性要件を満たした場合は
補助率9/10【事業場内最低賃金850円未満】
補助率3/4
生産性要件を満たした場合は
補助率4/5
申請期間 2022年3月31日

働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)

「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」は、労働時間の減少や、年次有給休暇の取得を促進するため、生産性向上に取り組み労働環境の整備に努める中小企業事業主を支援する制度です。

農業の場合は、中小企業事業主要件のその他の業種に該当するため、資本または出資額が3億円以下、常時雇用する労働者が300人以下の中小企業が対象となります。

農業は自然環境に影響されやすい業務の性質上、労働基準法において労働時間・休憩・休日の規定が適用除外とされていますが(※)、優秀な人材確保の観点から、積極的に助成金を活用して労働環境整備に努めるとよいでしょう。

※労働基準法第41条第1号

対象者
  1. 労働者災害補償保険の適用事業主であること。
  2. 交付申請時点で、「成果目標」1から3の設定に向けた条件を満たしていること。
  3. 全ての対象事業場において、交付申請時点で、年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
給付額 取り組みの実施に要した経費の一部を、成果目標の達成状況に応じて支給します。

以下のいずれか低い方の額

  1. 成果目標1から3の上限額及び賃金加算額の合計額
  2. 対象経費の合計額×補助率3/4(※)

(※)常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取り組みで6から9を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合に補助率は4/5

1.【 (1)の上限額 】
2. ○成果目標1の上限額
事業実施後に設定する時間外労働時間数等 事業実施前の設定時間数
現に有効な36協定において、時間外労働時間数等を月80時間を超えて設定している事業場 現に有効な36協定において、時間外労働時間数等を月60時間を超えて設定している事業場
時間外労働時間数等を月60時間以下に設定 100万円 50万円
時間外労働時間数等を月60時間を超え、月80時間以下に設定 50万円

○成果目標2達成時の上限額:50万円

○成果目標3達成時の上限額:50万円

【 (1)の賃金加算額 】
引き上げ人数 1~3人 4~6人 7~10人 11人~30人
3%以上引き上げ 15万円 30万円 50万円 1人当たり5万円

(上限150万円)

5%以上引き上げ 24万円 48万円 80万円 1人当たり8万円

(上限240万円)

申請期間 2021年10月15日まで

 

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