中小企業や小規模事業主、そして個人事業主が活用できるものづくり補助金は、活用できる範囲も広く、補助限度額も高いことから人気の制度です。
とはいえ、実際にどんな事業が採択されているのかイメージがわかないという方も多いですよね。
この記事では、業種別にものづくり補助金の採択事例を紹介し、ものづくり補助金にまつわる疑問にお答えします。
ものづくり補助金とは?わかりやすく解説
対象者 | 日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者及び特定非営利活動法人 |
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利用目的 | 生産性向上を実現するための革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセス改善のための設備投資支援を目的としています |
対象経費 | ものづくり補助金に係る事業のために使用される機械装置、工具器具の購入、製作、借用に要する経費や、使用される専用ソフトウェア、情報システムの購入、構築、借用に要する経費、またこれらの修繕や据付に係る経費 |
給付額 | 100万円~1,000万円 |
申請期間 | 1次 令和2年~3/31 2次 令和2年4/1~5/20 3次 令和2年5/21~8/3 4次 令和2年8/4~12/18 5次 令和2年12/19~令和3年2/22 6次 令和3年2/23~5/13 7次 令和3年5/14~8/17 8次 令和3年9/1~11/11 9次 令和4年2月頃〜 |
ものづくり補助金は、新サービスや試作品の開発、生産性向上のための設備導入などにかかる費用の一部を支援する制度です。正式名称を「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
中小企業や小規模事業者のほか、要件を満たせば個人事業主も対象となります。
「ものづくり」という言葉から製造業を対象とした制度のように感じられますが、生産性向上のための取り組みであれば、さまざまな業種で活用できます。
ものづくり補助金の採択事例
個人事業主
個人事業主の採択率は低い傾向にありますが、歯科や動物病院の機器類の導入や飲食店の調理機器導入などの活用事例が多く見られます。
歯科
患者との接触機会の低減や作業効率向上を目的に作業をデジタル化するため、最新式の歯科用CTや3Dスキャンなどの導入に活用されました。
キッチンカー
キッチンカーの購入費用は補助対象外ですが、既にある車両をキッチンカーに改造する費用などに活用されました。
ドローン
農業では農薬や肥料の散布、建築業では家屋高所の点検など、危険を伴う人的作業をドローンで行う事例が多く見られます。
ホームページ制作
「システム」導入が対象であることからコーポレートサイトは対象外です。予約システムやイーコマースの導入に活用されました。
動物病院
高齢のペット介護サービスを開始するにあたって、動物用ケージや看護ユニット導入、内装工事などに活用されました。
美容室
サロンオリジナルヘアケアグッズの開発やエステなど新サービスの導入、ホームページの予約システムやPOSレジの導入に活用されました。
薬局
錠剤過誤防止と薬剤師の負担軽減のため、薬剤の自動分包機や錠剤の監査支援システムの導入に活用されました。
飲食店
ポストコロナを見据えたテイクアウトやデリバリーシステムの開発、予約システムの導入、ネットショップ展開などに活用されました。
農業
ドローン活用の他にも、スマート農業システムの導入や農作物の冷蔵保管機能の改善といった設備投資などに活用されました。
林業
ドローンを活用した測量や最新の木材加工機械の導入のほか、IoTを導入するなど業務効率化及びデジタル化に活用されました。
漁業
漁業のデジタル化を促進するため必要な施設整備や機器の導入や、水産加工食品等の改良・開発などに活用されました。
ものづくり補助金の募集要項
対象者
日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者及び特定非営利活動法人。
利用目的・事業目的
生産性向上を実現するための革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセス改善のための設備投資支援を目的としています。
申請要件
営業利益・人件費・減価償却費を足した金額を年間3%アップ、給与総支給額が年間1.5%アップ、事業内最低賃金を地域別最低賃金よりも30円多くなるよう棚上げすること要件です。
対象経費
ものづくり補助金に係る事業のために使用される機械装置、工具器具の購入、製作、借用に要する経費や、使用される専用ソフトウェア、情報システムの購入、構築、借用に要する経費、またこれらの修繕や据付に係る経費。
給付額
100万円~1,000万円
申請期間
1次 令和2年~3/31
2次 令和2年4/1~5/20
3次 令和2年5/21~8/3
4次 令和2年8/4~12/18
5次 令和2年12/19~令和3年2/22
6次 令和3年2/23~5/13
7次 令和3年5/14~8/17
8次 令和3年9/1~11/11
9次 令和4年2月頃〜
ものづくり補助金の募集スケジュール
ものづくり補助金は、年間通して公募を行っています。令和3年は年4回実施され、それぞれの応募期間はおよそ2ヶ月、審査期間はおよそ1ヶ月設けられ、6月、9月、12月、3月に採択結果が発表されました。
ものづくり補助金の申請・手続き方法
必要書類
ものづくり補助金申請時に必要となる書類は、事業計画書、賃金引き上げ計画を従業員に表明した証となる書類、直近2期分の決算書類、認定支援期間確認書、登記簿謄本等です。開業間もない場合は現存する限りの決算書類や、収支予算書などを提出します。
ものづくり補助金のQ&A

ものづくり補助金にメリット・デメリットはありますか?
返済不要のお金がもらえて設備投資できることが最大のメリットですが、申請時から採択後、果ては交付後5年間にわたり煩雑な事務手続きに追われることとなり、そのための費用が発生したり本業に差し支えたりする点がデメリットです。

ものづくり補助金は難しい?
ものづくり補助金は交付が開始してから20年以上の歴史があり、活用事例も多く情報が豊富にあることから、レベルの高い事業計画書を提出する応募者が多いです。
そのため倍率が高まる傾向にあり、比較的難しい補助金と言えるでしょう。

ものづくり補助金の採択率を教えてください
ものづくり補助金の採択率は30%〜50%程度です。予算が潤沢にある年度初めの募集の方が採択率が高い傾向にあります。

ものづくり補助金の採択率を高めるポイントはありますか?
ものづくり補助金の採択率を高めるためには、事業計画書のクオリティを高めることが重要になります。
また、毎年度要件が変わるため、申請前に必ず公募要領を確認し、申請書類に不備のないようにしましょう。

ものづくり補助金の申請代行は可能ですか?
ものづくり補助金の申請代行は可能です。申請書作成の手間が省けたり、実績豊富な専門家に依頼すれば採択率がアップしたりといったメリットもあります。

ものづくり補助金は2回目の申請も可能ですか?
申請は可能です。ものづくり補助金に回数の制限は設けられていません。ただし、過去に採択されていた場合はやや不利な評価を受ける可能性があります。

ものづくり補助金の対象外になる「みなし大企業」に該当するものを教えてください
「みなし大企業」とは、資本金または出資金が1億円以下であることが前提です。その上で、「発行済株式または出資の2分の1以上を同一の大規模法人に保有されている法人」、あるいは「発行済株式または出資の3分の2以上を大規模法人に保有されている法人」は、みなし大企業に該当します。

ものづくり補助金は他の補助金と併用できますか?
ものづくり補助金と他の補助金を併用したい場合、目的や対象が異なり、要件を満たしていれば併用できる可能性はあります。