「トライアル雇用助成金」は、技能や職業経験の乏しさから安定的な就職が困難な求職者を一定期間試行雇用した事業主に対して助成金を支給する制度です。
優秀な人材の確保や採用後のミスマッチを減らしたいと考える多くの事業主から注目を集める一方で、本制度を活用する上での注意点も多く存在します。
今回は、「トライアル雇用助成金」を活用するメリット・デメリットについて詳しく解説いたします。
トライアル雇用助成金とは
「トライアル雇用助成金」は、ハローワーク等の紹介により技能や職業経験の乏しさから安定的な就職が困難な求職者を一定期間(原則3か月)試行雇用した事業主に対して、費用助成を行うことを目的とした制度です。
履歴書等では判断することができない求職者の適性等を見極め、採用後のミスマッチの防止や早期の人材確保を目指すことができます。
トライアル雇用助成金の4つのメリット
①費用助成を受けることができる
トライアル雇用期間終了後2か月以内に助成金の支給申請を行うことで、労働者1人につき月額4万円(最長3か月間)の費用助成を受けることができます。
助成金の使途に定めはなく、労働者への教育費や資格取得費等幅広く活用することができます。
②採用に必要なコストを抑えることができる
「トライアル雇用助成金」は、ハローワークや民間職業紹介事業者等の紹介により求職者を試行雇用した際に費用助成を受けることができる制度です。
その為、広告費や人材紹介料等の採用活動を行う際にかかる費用を抑えながら人材の確保を目指すことができます。
③事業主と労働者双方のミスマッチを防ぐことができる
「トライアル雇用助成金」は、常用雇用を行う前に最長3か月のトライアル期間が設けられます。
トライアル期間中に実際の業務を行うことで、履歴書や職務経歴書だけでは判断することが難しい求職者の適性を判断することが可能で、事業主と労働者双方のミスマッチを防ぐことができます。
④トライアル期間満了後は契約解除を行うことができる
トライアル期間終了後の常用雇用は義務ではないため、期間満了後に職務遂行能力や適性を判断した上で契約解除を行うこともできます。
ただし、助成金の受給のみを目的とした“空求人”の募集は企業倫理に欠ける行為であることに加えて、助成金を受給する為には非常に多くの手間や労力がかかるという点には留意ください。
トライアル雇用助成金の4つのデメリット
①費用助成額は決して多くない
「トライアル雇用助成金」による費用助成額は、原則として労働者1人につき月額4万円(最長3か月)と、決して多いとはいえません。
資金調達という観点からは、補助金や日本政策金融公庫などの公的機関による融資制度の活用を検討する方が良い場合もあります。
②教育体制の整備が必要となる
職業経験の乏しい求職者の受け入れを行う場合、基礎的なビジネスマナーの指導や教育係の配置等の教育体制の整備が必要となることがあります。
即戦力として活躍ができる人材を見つけたい場合には、「トライアル雇用助成金」制度の活用は適さない可能性があります。
③教育コストが大幅にかかる可能性がある
技能や職業経験の乏しい求職者の雇用を行う場合には、研修への参加や資格取得などの教育コストが大幅にかかる可能性があります。
コストをかけて長期的に育成を行うという前提の元でトライアル雇用を行うことが重要です。
④スケジュール管理や申請手続き等の事務的負担が増える
「トライアル雇用助成金」を受給する為には、一定期間内にトライアル雇用実施計画書の提出や申請書類の作成などを行わなければなりません。
煩雑な手続きが多く伴うため、場合によっては社会保険労務士によるサポートを受けながら申請を行うことをオススメいたします。
トライアル雇用助成金の特徴を理解して活用しよう
今回は、「トライアル雇用助成金」を活用するメリット・デメリットについて解説しました。
本制度を活用することで、事業主と労働者双方のミスマッチを防ぎながら優秀な人材の確保を目指すことができます。
組織力の強化を図りたい、申請手続きの負担を減らしたいと考える事業主の方は、是非社会保険労務士への相談をご検討ください。