特定求職者雇用開発助成金のメリット・デメリット

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「特定求職者雇用開発助成金」は、人材不足を解消できるだけでなく、企業が自由に使用用途を決められる、原則返済不要の資金を受け取ることができるなど、企業にとって大きなメリットがあります。反面、申請後に不支給になる可能性があるなどデメリットも存在することも事実です。

この記事では、特定求職者雇用開発助成金のメリット・デメリットについて解説します。

 

特定求職者雇用開発助成金とは

「特定求職者雇用開発助成金」とは、高年齢者や障害者などの就職が困難な求職者の雇用機会を創出し、企業の人材確保を支援する制度です。対象となる求職者や支給要件が異なる複数のコースが設けられています。

支給要件を満たして申請すれば誰でも受給できるなど採択の難易度が低く、企業が活用しやすい制度です。

 

特定求職者雇用開発助成金の4つのメリット

①原則返済不要の資金を調達できる

特定求職者雇用開発助成金を活用すると、原則返済の必要がないお金を受け取ることができます。また、受給した助成金は「雑収入」の扱いとなり、使用用途は企業が自由に決めることができます。

資金繰りに悩む事業主にとって、大きなメリットとなるでしょう。

 

②支給要件を満たせば受給できる

本助成金は通年募集されており、支給要件を満たせば誰でも必ず受給することができます。

募集スケジュールが定められており、倍率が高い補助金に比べて採択される難度が低いため、活用を検討しやすい点がメリットです。

 

③労働法の理解が深まる

支給要件を満たすためには、労働法の理解が必要不可欠です。雇用契約書や賃金台帳、出勤簿の提出が求められるため、必然的に自社の労務管理の見直しが必要となります。

副次効果として、労働環境の改善は既存社員のモチベーションアップや、雇用の安定にも繋がるでしょう。

 

④人手不足を解消できる

諸条件により就職が困難な求職者であっても、高年齢者であれば豊富な職務経験があるなど、優秀な人材は多く存在します。

企業の人手不足の解消を、実質的に低コストで行え、即戦力となる人材を雇用できる点がメリットです。

 

特定求職者雇用開発助成金の4つのデメリット

①計画に変更があった場合受給できない可能性がある

支給要件を満たしていれば原則受給できる助成金ですが、支給対象期中に対象となる労働者が退職してしまったり、不備があり支給要件を満たせなかったりした場合は不支給となる可能性があります。

各コースにより支給要件が異なるため、要項を隈なく確認しましょう。

 

②申請手続きなど事務作業に手間がかかる

申請書類の作成や必要書類の用意など、申請手続きなどの事務作業に手間がかかります。本業が忙しい場合、この作業が負担となる場合があります。

また、支給申請期間を1日でも過ぎると申請ができなくなります。スケジュールには余裕を持たせるようにしましょう。

 

③受給までの期間が長い

対象者を雇い入れてから申請、審査を経て、助成金を受給するまで長くて1年程度を要する可能性があります。

助成金は原則後払いであるため、対象労働者の賃金などは実質立て替えることになります。資金に余裕がない企業は、本助成金の活用は難しいでしょう。

 

④受給後も書類の保管義務がある

本助成金を受給した場合、当面の間国の会計検査の対象となる可能性があるため、関係する書類は支給決定後5年間保管する義務があります。

検査の協力を求められた場合や、書類の保管に手間がかかる点がデメリットです。

 

特定求職者雇用開発助成金の特徴を理解して活用しよう

特定求職者雇用開発助成金は、支給要件を満たしていれば原則返済の必要のない資金を、全員が受給できる制度です。

とはいえ、支給要件を正しく理解していなかったり、雇い入れた対象者が退職するなどすれば、申請したものの不支給となってしまう可能性があります。

助成金を活用する際は、メリット・デメリットをきちんと把握して、計画的に申請するようにしましょう。