個人事業主が起業時に活用できる補助金・助成金9選【2021年】

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これから起業する、または起業間もない個人事業主が活用できる補助金・助成金が政府より交付されています。

個人事業主は事業が軌道に乗るまでの間の資金繰りに苦労することが多く、計画通りに成果をあげにくいといった問題があります。

そのような場合に補助金・助成金を活用すれば、販路開拓、設備投資、IT化、人材育成・雇用などに活用することができ、個人事業主の大きな助けとなります。

今回は、起業を考えている、又は起業したばかりの個人事業主が活用しやすい補助金・助成金を9つ厳選して紹介します。

販路開拓

小規模事業者持続化補助金

常時使用する従業員の人数が20人以下の小規模事業者を対象とする「小規模事業者持続化補助金」は、販路開拓や生産性向上に取り組む際に要する費用の一部を支援する制度です。

起業して間もない会社や事業主は少人数で事業を始めることが多いため、本補助金を活用できます。

ただし、申し込みには開業届の提出と、商工会議所または商工会の支援が必要です。

経費に関する制限がない一般型と、新型コロナウイルス感染症対策の取り組みを補助する低感染リスク型ビジネス枠が設けられています。

対象者 宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業
(常時使用する従業員の数 5人以下)

宿泊業・娯楽業
(常時使用する従業員の数 20人以下)

製造業その他
(常時使用する従業員の数 20人以下)

※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。

給付額 補助率3/4
補助上限額100万円
申請期間 第1回受付締切日 2020年 3月31日(火)(郵送:締切日当日消印有効)
第2回受付締切日 2020年 6月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第3回受付締切日 2020年 10月2日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第4回受付締切日 2021年 2月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第5回受付締切日 2021年 6月4日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第6回受付締切日 2021年10月1日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第7回受付締切日 2022年 2月 4日(金)(郵送:締切日当日消印有効)

中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業

「中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業」は、海外展開を志す中小企業や小規模事業者に、情報提供、海外展開戦略策定支援、販路開拓支援、海外現地支援や翻訳など、海外進出から事業再編まで戦略的サポートを行っています。

情報収集からアフターフォローまでサポートされる他、要件を満たせば補助率1/2、最大140万円まで補助金が支給されます。

法律面の支援や現地企業との取次など、海外展開を見据えて起業を志す個人事業主にとって大きな助けとなる支援事業です。

対象者 海外市場に活路を見出そうとする中小企業・小規模事業者
給付額 ・海外展開戦略策定支援

海外展開戦略策定に繋げるため、海外現地における事業の実現可能性調査やWebサイトの外国語化等を支援します

①輸出企業の場合:補助上限50万円、補助率1/2 

②直接投資の場合:補助上限 140万円、補助率1/2 

③web支援の場合:補助上限100万、補助率1/2

また、投資実行時のリスク精査を支援します。

申請期間 申請期間の定めなし

インバウンド需要拡大推進事業(地域消費拡大推進事業)

「インバウンド需要拡大推進事業(=地域消費拡大推進事業)」は、訪日外国人観光客向けの商品・サービス開発、サービスの他言語対応など、訪日外国人消費拡大のための取り組みを行う中小小売業・サービス業を支援する制度です。

家賃や設備費、広報費、人件費など幅広い経費が補助対象とされており、補助率2/3、支給上限は3,000万円と補助内容が大きいのが特徴です。

新型コロナウイルス感染症収束後のインバウンド需要の回復を見越した事業を計画している個人事業主が活用しやすい制度です。

対象者 中小小売業・サービス業のグループ等

※「中小小売業・サービス業のグループ等」とは、商店街その他の商業の集積地区において、小売業又はサービス業に属する事業を営む中小企業者の連携体をいいます。

給付額 補助率2/3以内(上限額:3,000万円、下限額200万円)
申請期間 令和2年6月22日(月曜日)〜令和2年9月28日(月曜日)まで
・一次締切:令和2年7月27日(月曜日)
・二次締切:令和2年9月28日(月曜日)

設備投資

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、新製品やサービスの開発、生産性向上に必要な設備への投資に要する費用を支援する制度です。

業種により定義は異なりますが、最小の条件でも資本金5千万以下の会社または常時使用する従業員の人数が100人以下の企業が対象となり、個人事業主であっても要件を満たせば補助対象となります。

ものづくりに限らずさまざまな設備投資に活用できるため、起業して間もない個人事業主にも適した補助金です。

対象者 日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者及び特定非営利活動法人
給付額 100万円~1,000万円
申請期間 1次 令和2年~3/31
2次 令和2年4/1~5/20
3次 令和2年5/21~8/3
4次 令和2年8/4~12/18
5次 令和2年12/19~令和3年2/22
6次 令和3年2/23~5/13
7次 令和3年5/14~8/17
8次 令和3年9/1~11/11
9次 令和3年12/1~令和4年2/8

IT化

IT導入補助金

「IT導入補助金」は、個人事業主や中小企業が生産性向上を目的としてITツールを導入した際に要した経費の一部を補助する制度です。

補助を受けるには、IT導入支援事業者と協力して共同事業体として交付申請を行う必要があります。

新型コロナウイルス感染症対策として、対人接触機会を減ずるITツールが補助対象となる定感染リスク型ビジネス枠も設けられており、個人事業主にとっても活用用途の多い補助金です。

対象者 中小企業・小規模事業者
給付額 最大450万円
申請期間 2021年
1次締切分 2021年5月14日(金)
2次締切分 2021年7月30日(金)
3次締切分 2021年9月30日(木)
4次締切分 2021年11月17日(水)
5次締切分 2021年12月22日(水)

資金繰り

創業補助金

「創業補助金」は、平成30年に「地域創造的起業補助金」、令和元年からは「創業支援等事業者補助金」と名称変更がされ、それに伴い補助率や補助額も増額されています。

地域の活性化と新たな雇用の創出を目的とし、創業を支援する事業を行う事業者に対して、創業支援に必要となる経費を一部を支援する制度です。

創業希望者を対象に、経営に関するセミナーなど起業教育を行う個人事業主は、大いに活用したい補助金です。

対象者 産業競争力強化法の認定を受けた、又は受ける予定である創業支援等事業計画に基づき、市区町村と民間事業者等が連携して実施する特定創業支援等事業(継続的な支援で、経営・財務・人材育成・販路開拓の知識が全て身につく事業)及び、創業機運醸成事業(創業無関心者に対し、創業に関する普及啓発を行う事業)
給付額 【創業補助金名義時】
補助金額の範囲(対象経費の1/2を補助)

・外部資金調達がない場合:50万円以上100万円以内

・外部資金調達がある場合:50万円以上200万円以内

【創業支援等事業者補助金名義時】
補助金額の範囲(対象経費の2/3以内)

50万円〜1,000万円

申請期間 令和元年5月15日(水)〜令和元年6月14日(金)

人材育成・雇用

雇用調整助成金

「雇用調整助成金」は景気の変動など外部要因により経営状態が悪化し、事業の縮小に迫られた事業主が、労働者の雇用維持を目的として、一時的な休業や出向、教育訓練を実施した場合に、休業手当や賃金の支払いに要した経費の一部を助成する制度です。

起業して間もない個人事業主は資金繰りが難しく、雇用が安定しないといった問題があります。

売上が思わしくない状況でも、従業員に休業や出向を命じることで人材を手放さずに済み、教育訓練を実施すれば人材育成にも活用できるため、個人事業主にとって大きな助けとなる助成金です。

対象者 (1)雇用保険の適用事業主であること。

(2)売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること。

(3)雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数に夜雇用量を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと。

(4)実施する雇用調整が一定の基準を満たすものであること。

 ①休業の場合
  労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施されるものであること。

 ②教育訓練の場合
  ①と同様の基準のほか、教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の修得や向上を目的とするものであり、当該受講日において業務(本助成金の対象となる教育訓練を除く)に就かないものであること。

 ③出向の場合
  対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事務所に復帰するものであること。

(5)過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること。

給付額 受給額は、休業を実施した場合、事業主が支払った休業手当負担額、教育訓練を実施した場合、賃金負担額の相当額に次の(1)の助成率を乗じた額です。

ただし教育訓練を行った場合は、これに(2)の額が加算されます。(ただし受給額の計算に当たっては、1人1日あたり8,265円を上限とするなど、いくつかの基準があります。)

休業・教育訓練の場合、その初日から1年の間に最大100日分、3年の間に最大150日分受給できます。出向の場合は最長1年の出向期間中受給できます。

(1)休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成(率)

※対象労働者1人あたり8,265円が上限です。(令和3年8月1日現在)

中小企業:2/3

中小企業以外:1/2

(2)教育訓練を実施したときの加算(額)

1人1日当たり 1,200円

申請期間 判定基礎期間終了後、2か月以内

人材確保等支援助成金

「人材確保等支援助成金」は、雇用管理制度の整備や、生産性向上を目的とした設備投資などを行い、職場環境の改善を行い労働者の就労意欲を高め、人材を職場に定着させる取り組みを行った事業主を支援する制度です。

個人事業主が活用しやすい雇用管理制度、介護福祉機器、中小企業団体助成、人事評価改善等助成といったコースの他に、建設事業主や団体・訓練法人向けなど合計9つのコースが設けられています。

対象者 人材の確保・定着に向けた「魅力ある職場づくり」に取り組む事業主(中小企業事業主等)
給付額 ・中小企業団体助成コース
〇事業共同組合等が、 構成中小企業の人材確保や職場定着を支援する事業を実施
→事業の実施に要した費用の2/3を助成(助成額には上限があります)

・雇用管理制度助成コース
〇雇用管理制度を導入 (研修制度や諸手当制度など)

〇離職率目標達成
→57万円助成
支給申請時の3年前と比較して生産性が向上した場合、更に+15万円助成

・介護福祉機器助成コース
〇介護福祉機器を導入

〇離職率目標達成
→導入費用の20%を助成
支給申請時の3年前と比較して生産性が向上した場合、助成率+15%上乗せ(※上限額:150万円)

・人事評価改善等助成コース
〇従業員の賃金アップを含む人事評価制度を導入

〇離職率目標達成

〇3年間で生産性向上
→80万円助成

申請期間 コースによって異なる

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、アルバイト・パートタイマー、派遣社員などの非正規雇用労働者を正社員へ転換したり、正社員との待遇の差を減じるべく賃金改訂や諸手当制度の整備などの処遇改善を行った事業主を助成する制度です。

従業員のモチベーションを高めて、人材を確保し生産性を向上させることを目的としています。個人事業主であれば、起業時は非正規雇用だった従業員を正社員に転換するなどして活用するとよいでしょう。

正社員化、賃金規定等改定・共通化、諸手当制度共通化など、現在は7つのコースが設けられています。

対象者 雇用保険適用事業所の事業主
給付額 有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合

中小企業

①有期→正規 57万円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合72万円(1人当たり)

②有期→無期 28万5,000円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合36万円(1人当たり)

③無期→正規 28万5,000円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合36万円(1人当たり)

中小企業以外

①有期→正規 42万7,500円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合54万円(1人当たり)

②有期→無期 21万3,750円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合27万円(1人当たり)

③無期→正規 21万3,750円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合27万円(1人当たり)

申請期間 実際に賃金が支給された日の翌日から起算して2か月以内