飲食店が活用できる補助金・助成金が、政府より交付されています。
新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、度重なる休業、時短要請により売上や需要の減少に悩む飲食店経営者は多いことでしょう。
補助金・助成金は、販路開拓、設備投資、IT化、資金繰り、人材育成・雇用、事業承継などさまざまな用途に活用でき、飲食店の事業拡大や事業継続にとって大きな力となります。
新型コロナウイルス感染症収束の見通しが立たない今、ウィズコロナ時代の社会経済に対応すべく、新サービスやメニューの開発、設備投資などの取り組みは必要不可欠です。
今回は、飲食店が特に活用しやすい補助金・助成金を8つ厳選し、紹介します。
販路開拓
小規模事業者持続化補助金(一般型)
小規模事業者が事業拡大の資金繰りに活用できる制度に、「小規模事業者持続化補助金」があります。
飲食店の場合は商業・サービス業に該当するため、常時使用する従業員人数が5人以下の事業者が対象となります。
販路拡大や職場環境の改善、業務効率化などさまざまな取り組みに活用でき、飲食店の事業拡大に欠かせない補助金です。
申請には商工会議所に相談の上、経営計画書の作成が必要で、採択審査を通過する必要があります。
対象者 | 宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業 (常時使用する従業員の数 5人以下) 宿泊業・娯楽業 製造業その他 ※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。 |
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給付額 | 補助率2/3 補助上限額50万円 |
申請期間 | 第1回受付締切日 2020年 3月31日(火)(郵送:締切日当日消印有効) 第2回受付締切日 2020年 6月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第3回受付締切日 2020年 10月2日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第4回受付締切日 2021年 2月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第5回受付締切日 2021年 6月4日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第6回受付締切日 2021年10月1日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第7回受付締切日 2022年 2月 4日(金)(郵送:締切日当日消印有効) |
小規模事業者持続化補助金(低感染リスク型)
「小規模事業者持続化補助金」には、新型コロナウイルス感染症対策に特化した低感染リスク型枠が設けられています。
一般型と比べ、補助率が3/4、補助上限額が100万円と多く設定されている点が特徴です。
対人接触機会の減少を目的とした非対面ツールや設備の導入、ウィズコロナ時代を見据えた事業モデルへの転換などの取り組みに活用できます。
コロナ禍で売上減少に悩む飲食店の事業継続及び拡大のため、積極的に活用したい制度です。
対象者 | 宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業 (常時使用する従業員の数 5人以下) 宿泊業・娯楽業 製造業その他 ※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません |
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給付額 | 補助率3/4 補助上限額100万円 |
申請期間 | 第1回受付締切日 2020年 3月31日(火)(郵送:締切日当日消印有効) 第2回受付締切日 2020年 6月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第3回受付締切日 2020年 10月2日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第4回受付締切日 2021年 2月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第5回受付締切日 2021年 6月4日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第6回受付締切日 2021年10月1日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第7回受付締切日 2022年 2月 4日(金)(郵送:締切日当日消印有効) |
設備投資
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
新製品・新サービスの開発や、生産性向上を目的とした設備投資を支援する制度に、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」があります。
飲食店の場合、資本金5,000万円以下、常時雇用する従業員数が100人以下の事業者が補助対象となります。
製造業に向けた制度のように見えますが、飲食店でも新メニューの試作や開発などに活用が可能です。
また、店内や厨房の施設設備への投資も対象となり、顧客満足や生産性向上にも大いに役立ちます。
対象者 | 日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者及び特定非営利活動法人 |
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給付額 | 100万円~1,000万円 |
申請期間 | 1次 令和2年~3/31 2次 令和2年4/1~5/20 3次 令和2年5/21~8/3 4次 令和2年8/4~12/18 5次 令和2年12/19~令和3年2/22 6次 令和3年2/23~5/13 7次 令和3年5/14~8/17 8次 令和3年9/1~11/11 9次 令和3年12/1~令和4年2/8 |
IT化
IT導入補助金
「IT導入補助金」は、国内企業全体のIT化促進を目的とし、生産性向上を目的としたITツールを導入する際の経費を支援する制度です。
新型コロナウイルス感染症対策で、非対面・非接触の取り組みが課題となる飲食店では、ITツールの導入が必要不可欠です。
POSレジやセルフオーダーシステムなど業務効率化に役立つツールや、デリバリーサービスの導入などさまざまな取り組みに活用できるため、飲食店にとってもメリットの大きい補助金です。
対象者 | 中小企業・小規模事業者 |
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給付額 | 最大450万円 |
申請期間 | 2021年 1次締切分 2021年5月14日(金) 2次締切分 2021年7月30日(金) 3次締切分 2021年9月30日(木) 4次締切分 2021年11月17日(水) 5次締切分 2021年12月22日(水) |
資金繰り
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け経営悪化に悩む事業者の思いきった事業再構築を支援し、事業の継続をサポートする制度です。
度重なる緊急事態宣言の発令で売上や需要が減少した飲食店にとって、最大補助額の大きい事業再構築補助金は起死回生の一手となり得ます。
飲食店であれば、通販サービスの導入や、デリバリー・テイクアウトの対応、新規顧客獲得に向けた広告宣伝費などの資金繰りなど、さまざまな取り組みに活用できます。
対象者 | 日本国内に本社がある法人で、中小企業者等及び中堅企業に限ります |
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給付額 | 1.中小企業(通常枠) ・補助率2/3 ・補助額 【従業員数20人以下】100万円~4,000万円 【従業員数21~50人】100万円~6,000万円 【従業員数51人以上】100万円~8,000万円 2.中小企業(卒業枠)(400社に限る) 3.中堅企業(通常枠) 4.中堅企業(グローバルV字回復枠)(100社に限る) ①直前6カ月間の中から、売上高の低い3カ月の合計売上高がコロナ以前の3カ月の合計売上高と比較し、15%以上売上減少している中堅企業。 ②事業終了後3〜5年が経ち、付加価値額又は一人当たりの従業員の付加価値額の年率が5.0%以上増加を達成すること。 ③グローバル展開を果たす対象事業であること。 |
申請期間 | 第1回公募締切 2021年5月7日18:00 第2回公募締切 2021年7月2日18:00 第3回公募締切 2021年9月21日18:00 第4回公募締切 2021年12月21日18:00 第5回公募締切 2022年3月頃 |
事業承継・引継ぎ補助金
経営状況の悪化や、後継者不在などを理由に廃業を検討している飲食店経営者は多いです。
「事業承継・引き継ぎ補助金」は、そうした事業者の事業継承や事業再編を行う際にかかる費用の一部を補助し、社会経済の活性化を目指す制度です。
補助内容は、事業承継に関する費用を補助する「経営革新」と、専門家の相談費用を補助する「専門家活用」の2種が設けられています。
既存事業の資本力や事業モデルを活かし、新たな経済的価値の創出に繋がる本制度は経営者、後継者の双方にメリットがあり、積極的に活用したい補助金です。
対象者 | 事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業者等及び、事業再編・事業統合に伴う経営資源の引き継ぎを行う中小企業者等 |
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給付額 | ■経営革新 ・経営者交代型 補助率:補助対象経費の2分の1以内 補助上限額:250万円以内 上乗せ額(廃業費):+200万円以内 ・M&A型 ■専門家活用 ・売り手支援型 |
申請期間 | 2021年9月30日から2021年10月26日まで |
地域未来投資促進法による支援
「地域未来投資促進法による支援」は、都道府県より「地域経済牽引事業計画」の承認を受けた事業者が計画に沿って事業を実施する場合に、税制や金融、規制の特例などさまざまな支援措置を行います。
飲食店では、町屋や古民家など歴史的建造物を活かした店作りや、地域の特産品を使ったメニュー開発などの活用事例があります。
地域の特性を活かした事業による経済的効果に着目し、地方経済の活性化を目的としているため、地域に根ざした事業を計画している飲食店にとってメリットの大きい制度です。
対象者 | 中小企業者・特定事業者 |
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給付額 | ■金融による支援措置 地域経済牽引事業の実施に必要な資金について、 日本政策金融公庫から固定金利での貸付けを受けることができます。 ・貸付限度:7.2億円(うち運転資金2.5億円以内) |
申請期間 | 定めなし |
人材育成・雇用
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置)
「雇用調整助成金」は、新型コロナウイルス感染症の影響により休業や事業縮小を余儀なくされた事業者が、従業員に休業手当等を支払う際に、その費用の一部を助成する制度です。
教育訓練の受講や出向も助成対象であるため、コロナ禍で時間的余裕が生じている今こそ、人材育成やサービス向上の取り組みに活用することも可能です。
度重なる休業要請や時短要請により、売上や需要の低下に悩む飲食店の雇用継続の支えとなるため、必ず押さえておきたい制度です。
対象者 | 新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、以下の条件を満たす全ての業種の事業主を対象としています。
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している 2.最近1ヶ月間の売上高又は生産量などが前年同月比5%以上減少している(※) ※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。 3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている |
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給付額 | 全企業共通(※令和4年1月以降は、施行にあたって厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点での予定です。)
判定基礎期間の初日→一人一日あたりの上限額 ・令和3年12月まで→13,500円〜15,000円 |
申請期間 | 令和3年5月〜 |