近年、働き方改革の一環で副業が解禁されました。それに伴い、副業で本業以上の収入を得る方も現れています。
副業が軌道に乗ればさらに事業を拡大するということも考えられるでしょう。そんな時に活用できる補助金・助成金が国や地方公共団体などより公布されています。
副業では補助金はもらえないのでは? と思いきや、個人事業主となれば補助対象となります。
この記事では、副業でも活用できる補助金について解説します。
副業で補助金をもらう方法
副業で補助金を申請するには、「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」の提出が必要となることが多いです。
開業届を提出していなくても申請が可能な補助金もありますが、提出していた方が選択肢は広がるでしょう。
補助金受給までの流れは制度ごとに異なるため確認が必要ですが、申請後の補助対象期間に事業目標を達成、または補助要件を満たし、事務局に承認された場合に補助金が支給されるのが、基本的な流れです。
個人事業主になるための開業届
開業届は、個人事業を開業したことを税務署に宣言するための書類です。事業開始後1ヶ月以内の提出が推奨されています。
開業届の提出は義務ではありませんが、「青色申告を活用できる」、「法人用銀行口座が開設できる」といったメリットがあります。青色申告は最大65万円の控除が可能で、大きな節税効果が期待できます。
開業届提出に費用は発生せず、記入書類は国税庁のホームページでダウンロードできます。
補助金申請に必要となることも多いため、早めに提出しておくとよいでしょう。
個人事業主が副業のために申請できる補助金
補助金は、原則返済の必要がない金銭的支援です。採択される件数や支給額があらかじめ決められていますが、事業に関するものであれば、幅広い用途に活用できる点が特徴です。
事業の資金繰りに役立つ補助金は、副業であっても開業届を提出して個人事業主になれば補助金の申請が可能です。
ここでは、副業で活用できる補助金を具体的に紹介します。
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、常時雇用する従業員数が20人以下の事業者が活用できる補助金です。
商工会のサポートを受け策定した事業計画を元に、販路開拓などに取り組んだ際の費用が補助対象となります。補助額上限は50万円、補助率は2/3に設定されています。
開業届を提出して個人事業主と認められていれば、副業であっても申請できます。補助対象となる費用も幅広く、副業開始後に最も活用しやすい補助金でしょう。
IT導入補助金
「IT導入補助金」は、ITツール導入時の費用の一部を補助する制度で、個人事業主も活用できます。事業の生産性向上や売上アップを目的とする、ソフトウェアの導入費用などが対象です。
補助額上限は450万円で、補助率が1/2の通常枠と、新型コロナウイルス感染症対策として補助率が2/3に設定された低感染リスク型ビジネス枠が設けられています。
ITツールであればもれなく補助対象となるのではなく、IT導入支援事業者が取り扱うITツールのみが対象となる点に注意が必要です。
創業者向け補助金
行政機関や地方自治体が創業を支援する、補助金制度もあります。
内容は各地方自治体や行政機関により異なりますが、補助額は100万〜300万円、補助率は経費の2/3以内で、個人事業主も対象となるものも多いです。
例を挙げると、東京都内で創業予定の人や創業後5年未満の事業者を対象とした、東京都中小企業振興公社の「創業助成金」などがあります。
創業者を対象としたセミナーの開催など、金銭的支援だけではなく事業全体のサポートを行う点が特徴です。
補助金の申請〜受給方法
補助金の申請が採択されるには、事業計画の策定と申請書の内容が非常に重要です。また、申請してから支給されるまでの期間が長く、後払いである点にも注意が必要です。
対象期間に要件を満たせなかった場合には補助金が支給されないといったこともあるため、申請する補助金の詳細と、申請から受給方法は必ず事前に確認してください。
ここでは、一般的な補助金の申請から受給までの方法を解説します。
補助金について情報収集する
補助金には多くの種類があり、それぞれ対象となる経費や、支給額、補助率などが異なります。
申請時に事業計画を策定し、対象期間内の取り組みの成果を元に補助金の支給が決定されるため、副業の内容にそぐわない制度を選んでしまうと、要件を満たせず受給できないといったことになりかねません。
申請する補助金の支給条件を確認し、副業内容にあった制度を選択するようにしましょう。
補助金の申請をする
申請する補助金を決定したら、事業計画の策定や提出書類の作成をします。
例えば「小規模事業者持続化補助金」であれば、商工会議所のサポートを受けて事業計画を策定する必要があり、「IT導入補助金」はIT導入支援事業者が取り扱うITツールの中から導入するものを選ぶ必要があります。
制度により申請方法は異なりますが、提出は書面による郵送か電子申請であることが多いです。
副業の場合、申請にかけられる時間に限りがあるため、申請代行サービスを活用するのも手でしょう。
交付申請する
補助金事務局の審査の結果、採択事業者が決定されると結果の通知が届きます。
採択された場合、補助金を受け取るための手続きである「交付申請」を行います。この時、交付申請書の他に経費の相見積もりが必要となることが多いです。
交付申請の内容が承認されると「交付決定」となり、補助を受ける事業を開始します。
補助事業を開始する
補助金の交付が決定されたら、策定した事業計画に沿って補助事業を開始します。
後に報告の必要があるため、補助対象となる経費の領収書や証拠書類はすべて保管するようにしましょう。
やむを得ない事情により事業内容を変更しなければならない場合は、事前に計画変更申請が必要です。事業実態の明確化に努めましょう。
実績報告と補助金の請求
実施した補助事業の内容や経費を事務局に報告します。この際、実績報告書、経費のエビデンス、請求書の提出が必要となります。
実施内容に不備がなく要件を満たしていることが確認されると、補助金額が確定し、補助金を受給できます。
制度によっては補助事業終了後も状況報告を求められる場合があります。また、補助対象の領収書や証拠類も5年間の保管が必要なため、補助事業終了後も引き続き管理しましょう。
副業で補助金をもらうには条件の確認を!
副業であっても活用できる補助金の概要と、申請方法について解説しました。
開業届を提出して個人事業主となれば補助金の対象者となります。ただし、「副業の収入が本業よりも多いこと」などの条件付けがされている場合もあります。申請する補助金を選択する際に、必ず要件について確認しましょう。
日々変化する経済社会を生き抜くためには収入源の複数化が重要とされています。副業を始める際にネックとなりがちな資金繰りの問題解決に、補助金は役立ちます。
この記事を参考に、ぜひ補助金を有効活用してくださいね。