「トライアル雇用助成金」は、ハローワーク等の紹介により求職者を一定期間試行雇用した事業主に費用助成を行う制度で、優秀な人材の確保を目指す事業主から注目を集めています。
今回は、「トライアル雇用助成金」の代表的な制度である“一般トライアルコース”を事例として、概要、募集要項、募集スケジュール、申請・手続き方法、Q&Aについて詳しく解説いたします。
トライアル雇用助成金とは?わかりやすく解説
対象者 | ハローワーク、地方運輸局又は職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という。)のトライアル雇用求人に係る紹介により、対象者をトライア ル雇用(国、地方公共団体、特定独立行政法人、特定地方独立行政法人から受けている補助金、委託費等から支出した人件費により行ったトライアル雇用を除く。)した事業主 |
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利用目的 | 職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者について、ハローワークや職業紹介事業者(※)等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成するものであり、それらの求職者の適性や業務遂行可能性を見極め、求職者および求人者の相互理解を促進すること等を通じて、その早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。
※厚生労働大臣の許可を受けた有料・無料職業紹介事業者、届出を行った無料職業紹介事業者、または無料船員職業紹介事業者(船員として雇い入れる場合)のうち、本奨励金に係る取扱いを行うに当たって、厚生労働省職業安定局長及び人材開発統括官の定める項目のいずれにも同意する旨の届出を労働局長に提出し、雇用関係助成金に係る取扱いを行う旨を示す標識の交付を受け、これを事業所内に掲げる職業紹介事業者 |
対象経費 | 使途の定めなし |
給付額 | 対象者1人当たり、月額最大4万年(最長3か月間)
※対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合は、いずれも1人当たり月額5万円(最長3か月間)と なります。 |
申請期間 | トライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内 |
「トライアル雇用助成金」は、ハローワーク等の紹介により技能や職業経験が乏しい為に安定的な就職が困難な求職者を一定期間試行雇用した事業主に対し、費用助成を行うことを目的とした制度です。
本制度を活用することで、履歴書や職務経歴書だけでは判断することができない求職者の職業適性を見極めた上で、事業主と求職者双方のミスマッチを防ぎながら早期の就職実現や雇用の創出、優秀な人材の確保へと繋げることができます。
トライアル雇用助成金の募集要項
対象者
ハローワーク、地方運輸局又は職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という。)のトライアル雇用求人に係る紹介により、対象者をトライア ル雇用(国、地方公共団体、特定独立行政法人、特定地方独立行政法人から受けている補助金、委託費等から支出した人件費により行ったトライアル雇用を除く。)した事業主
利用目的・事業目的
技能や職業経験の乏しさ等から安定的な就職が困難な求職者について早期就職の実現を図ると共に、履歴書や職務経歴書だけでは判断することができない求職者の適性や業務遂行可能性を見極め、優秀な人材の確保を目指す事業主へ費用助成を行うことが本制度の目的です。
申請要件
受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。
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対象労働者がハローワーク、地方運輸局(船員となる場合)または職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という。)の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のイ~ニのいずれにも該当しない者であること。
- 安定した職業に就いている者
- 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が 30 時間以上の者
- 学校に在籍している者( 在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)
- トライアル雇用期間中の者
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次のイ~ヘのいずれかに該当する者
- 紹介日前2年以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者
- 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
- 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの
- 紹介日において、ニートやフリーター等で55歳未満である者
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紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する次のa~iまでのいずれかに該当する者
- 生活保護受給者
- 母子家庭の母等
- 父子家庭の父
- 日雇労働者
- 季節労働者
- 中国残留邦人等永住帰国者
- ホームレス
- 住居喪失不安定就労者
- 生活困窮者
- ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること
- 原則3ヶ月のトライアル雇用をすること
- 1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間(上記(2)d、gまたはhに該当する者の場合は20時間)を下回らないこと)であること
対象経費
「トライアル雇用助成金」は、ハローワーク等の紹介により一定期間求職者を試行雇用することで費用助成を受けることが可能で、原則として助成金の使途は自由です。
採用コストに充てられた事例や、研修・資格取得費用などの従業員教育に活用されたケースなどもあります。
給付額
対象者1人当たり、月額最大4万年(最長3か月間)
※対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合は、いずれも1人当たり月額5万円(最長3か月間)と なります。
申請期間
トライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内
トライアル雇用助成金の募集スケジュール
「トライアル雇用助成金」の一般トライアルコースは通年での募集が行われています。
労働者をトライアル雇用した後2週間以内にトライアル雇用実施計画書を提出し、試行雇用が終了した後2か月以内に助成金支給申請を行うのが主な流れとなります。
トライアル雇用助成金の申請・手続き方法
「トライアル雇用助成金」は、試行雇用する労働者についての“トライアル雇用実施計画書”を作成し、トライアル雇用開始から2週間以内に提出を行います。
トライアル雇用が終了した後2か月以内に“トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)支給申請書”等の申請書類を作成し受給手続きを行います。
自社での手続きが困難な場合には、社会保険労務士へのサポートを受けながら申請を行うこともご検討ください。
必要書類
- トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)支給申請書
- 支払方法・受取人住所届
- トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)勤務実態等申立書
- 支給要件確認申立書(※役員等一覧を含む)
- トライアル雇用賃金計算確認票
- トライアル等雇用実施計画書(写)
- 労働条件通知書または雇用契約書(写)(★トライアル雇用期間と同じ期間の定めがあるもの)
- 労働条件通知書または雇用契約書(写)(★常用雇用後の期間の定めのないもの。常用雇用に移行した場合のみ提出。)
- 出勤簿またはタイムカード(写)
- 賃金台帳または給与明細書(写)
- 年間カレンダーまたはシフト表(写)
- 提出書類チェックリスト(写)
トライアル雇用助成金のQ&A
トライアル雇用助成金にメリット・デメリットはありますか?
トライアル雇用助成金を活用するメリットは、履歴書や職務経歴書から判断できない労働者の業務適性等を判断しながら優秀な人材を確保することができることです。
一方で、助成金を受給するためには、求人票の作成から支給申請手続きなど様々なステップを踏む必要があります。
煩雑な手続きが多く伴い、事務面での負担が増えるという点には注意が必要です。
トライアル雇用助成金は外国人雇用にも活用できますか?
トライアル雇用助成金は、外国人を雇用する場合にも活用することができます。
ただし、労働者本人がトライアル雇用を希望していることが必要で、トラブル回避のためには、トライアル雇用と常用雇用の違いを事前に説明しておくことが重要です。
トライアル雇用期間中に退職を希望された場合の対応を教えてください
トライアル雇用期間中に労働者から退職を希望された場合には、通常の退職者と同様の手続きを行う必要があります。
労働者は、就業規則で定められた期日までに退職の申し出を行い、退職日が決定した後、企業側は社会保険の喪失手続きを行います。
トライアル雇用期間中に解雇する場合の対応を教えてください
トライアル雇用期間中に解雇をする場合は、解雇日の30日以上前に解雇予告を出すか、解雇予告期間が30日に満たない場合には、解雇予告手当を支給しなければなりません。
「正当な理由なく遅刻・欠勤を繰り返す」「勤務態度が極めて悪い」といった正当な理由なく解雇を行えば“不当解雇”となる可能性がある点には注意が必要です。