農業・農家が活用したい補助金・助成金12選②

お役立ち記事

政府より、農業を営む事業者が活用できる補助金・助成金制度が設けられています。

大胆な設備投資、農作物の販路開拓や6次産業化、優秀な人材の確保などは、補助金・助成金制度を活用することで効果的に推進することができます。

今回は、その中でも特に活用しやすい補助金・助成金制度を12個ピックアップしました。

人材育成・雇用

雇用就農資金

「雇用就農資金」は、50歳未満の就農希望者を新たに雇用する農業法人等に対して、予算の範囲内において補助金を交付することで、人手不足の解消や優秀な人材の確保を目指すことを目的とした制度です。

本制度を活用することで、雇用就農者育成 独立支援タイプの場合には、年間最大60万円(月額5万円)の交付が予定されており、事業拡大を目指す農業法人による積極的な制度活用が期待されています。

対象者※以下、雇用就農者育成 独立支援タイプの場合

  1. おおむね年間を通じて農業を営む事業体(農業法人、農業者、農業サービス事業体等)等であること。
  2. 十分な指導を行うことのできる指導者(当該農業法人等の役員又は従業員で、5年以上の農業経験を有する者等)を確保できること。
  3. 新規雇用就農者との間で正社員として期間の定めのない雇用契約を締結すること(独立が前提の場合は、期間の定めのある雇用契約で可)。
  4. 働きやすい職場環境整備に既に取り組んでいるか、新たに取り組むこと。
  5. 雇用保険及び労災保険に加入させること(法人の場合は厚生年金保険及び健康保険にも加入)。
  6. 1週間の所定労働時間が年間平均35時間以上であること(新規雇用就農者が障がい者の場合は20時間以上で可)。
  7. 過去5年間に本事業、農の雇用事業等の対象となった新規雇用就農者が2名以上いる場合、当該就農者の農業への定着率が2分の1以上であること。
  8. 研修内容等を就農に関するポータルサイト(農業をはじめる.JP)に掲載していること。
給付額年間最大60万円(月額5万円)
申請期間2024年7月3日(水)〜2024年8月7日(水)まで

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して、予算の範囲内において助成金を交付することを目的とした制度です。

本制度を活用することで、中小企業の場合には対象労働者1人につき80万円の交付が予定されており、人手不足の解消を目指す農業者から注目を集めています。

対象者※以下、正社員化コースの場合

次のすべてに該当する事業者が対象です。

①雇用保険適用事業所の事業主。
②雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主。
③雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主。
④実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主。
⑤キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主。
給付額1人あたり
中小企業:80万円(40万円×2期)
大企業:60万円(30万円×2期)
申請期間正社員化した対象労働者に対し、正規雇用労働者としての賃金を6か月分支給した日の翌日から起算して2か月以内

トライアル雇用助成金

「トライアル雇用助成金」は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を原則3か月間試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとするために、予算の範囲内において助成金を交付することを目的とした制度です。

本制度が採択された場合には、対象労働者1人につき月額4万円(対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は5万円)の交付が予定されており、人材確保や育成に悩む農業法人などによる積極的な制度活用が期待されています。

対象者※以下、一般トライアルコースの場合

本助成金は次の1の対象労働者を2の条件で雇い入れた場合に受給することができます。 

1 対象労働者   
次の[1]から[4]のいずれにも該当する者であること    

[1]1週間の所定労働時間が30時間以上の無期雇用による雇入れを希望している者であって、トライアル雇用制度を理解した上で、トライアル雇用による雇入れについても希望している者であること   
 
[2]ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等(以下「ハローワーク等」という。)に求職申込をしていること    

[3]ハローワーク等の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のアからエまでのいずれにも該当しない者であること       
  1. 安定した職業に就いている者
  2. 自ら事業を営んでいる者又は役員等に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が30時間以上のもの
  3. 学校に在籍している者
  4. トライアル雇用期間中のトライアル雇用労働者
[4]次のアからオまでのいずれかに該当する者であること
  1. 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  2. 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている
  3. 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
  4. 生年月日が1968(昭和43)年4月2日以降で、かつ安定した職業に就いておらず、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている
  5. 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する(※)
    ※生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者

2 雇入れの条件    

[1]ハローワーク等の紹介により雇い入れること   
[2]原則3か月のトライアル雇用をすること    
[3]1週間の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間(30時間以上)と同じであること。
給付額対象労働者1人につき4万円
ただし、対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は5万円
申請期間トライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内

業務改善助成金

「業務改善助成金」は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成することを目的とした制度です。

本制度の採択事例としては、トラクター装着型ハンマーナイフモア(草刈り機)、電動高所用作業車、ハウス内計器の警報装置の導入などが挙げられ、30円コースの場合には1事業者あたり最大120万円の交付が予定されています。

対象者※以下、30円コースの場合

(1)中小企業・小規模事業者であること。
(2)事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である こと。
(3)解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと。
給付額上限130万円
申請期間2024年12月27日(金)まで

企業・創業

農業次世代人材投資資金

 「農業次世代人材投資資金」は、次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金(2年以内)及び就農直後の経営確立を支援する資金(3年以内)を予算の範囲内において交付することを目的とした制度です。

本制度を活用することで、就農準備資金の場合には年間最大150万円が最長2年間にわたって支給され、新規就農者や農業に関心を抱く若年層などから注目を集めています。

対象者※以下、就農資金の場合

交付対象者の主な要件(すべて満たす必要があります)  

  • 就農予定時の年齢が、原則49歳以下であること
  • 独立・自営就農、雇用就農又は親元での就農を目指すこと
  • 独立・自営就農を目指す者については、就農後5年以内に認定農業者又は認定新規就農者になること
  • 親元就農を目指す者については、就農後5年以内に経営を継承する、農業法人の共同経営者になる又は独立・自営就農し、認定農業者又は認定新規就農者になること
  • 都道府県等が認めた研修機関・先進農家・先進農業法人で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること
  • 常勤の雇用契約を締結していないこと
  • 生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でないこと
  • 申請時の前年の世帯全体(親子及び配偶者の範囲)の所得が原則600万円以下であること
  • 研修中の怪我等に備えて傷害保険に加入すること

給付額年間150万円を最長2年間にわたって支給
申請期間随時

経営発展支援

「経営発展支援」は、就農後の経営発展のために、都道府県が機械・施設等の導入を支援する場合、都道府県支援分の2倍を国が支援することを目的とした制度です。

本制度を活用することで、機械・施設等の取得、改良又はリース、家畜の導入、果樹・茶の新植・改植、農地等の造成、改良または復旧などを効果的に推進することが可能であり、積極的な設備投資を目指す農業法人にとって特に活用を検討したい制度のひとつです。

対象者交付対象者の主な要件(すべて満たす必要があります)  
就農時の年齢が、原則49歳以下の認定新規就農者であること 
令和5年度又は令和6年度中に新たに農業経営を開始し、独立・自営就農すること

  • 農地の所有権又は利用権を交付対象者が有していること
  • 主要な機械・施設を交付対象者が所有又は借りていること
  • 生産物や生産資材等を交付対象者の名義で出荷又は取引すること
  • 経営収支を交付対象者の名義の通帳及び帳簿で管理すること
  • 交付対象者が農業経営に関する主宰権を有していること
親等の経営の全部又は一部を継承する場合には、継承する農業経営に従事してから5年以内に継承し、かつ継承する農業経営の現状の所得、売上若しくは付加価値額を10%以上増加させる、又は生産コストを10%以上減少させる計画であると市町村に認められること 
就農する市町村の「目標地図」に位置づけられていること(見込みも可)、「人・農地プラン 」に中心経営体として位置づけられていること(見込みも可)、又は農地中間管理機構から農地を借り受けていること
本人負担分の経費について、融資機関から融資を受けること(青年等就農資金を活用可)
給付額機械・施設等導入にかかる経費の上限1,000万円(経営開始資金の交付対象者は上限500万円)に対し、都道府県支援分の2倍を国が支援します(国の補助上限 1/2)
申請期間随時