美容室で活用できる補助金・助成金8選【2021年】

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美容室の事業主が、さまざまな用途で活用できる補助金・助成金が政府より交付されています。

美容室の経営は、新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が減少する中、競争の激化により競合店との差別化や顧客獲得などの難易度が高く、新サービスの展開や販路開拓などが課題とされています。

ウィズコロナ時代に対応すべく事業の再構築や、従業員の雇用維持に悩む美容室にとって、補助金・助成金は強い味方になります。

今回は、特に美容室の販路開拓、設備投資、IT化、人材育成・雇用、事業承継など、幅広く活用しやすい補助金・助成金を8つ選んで紹介します。

販路開拓

小規模事業者持続化補助金

「小規模事業者持続化補助金」は、小規模な事業者が、販路開拓や生産性向上を目的とした取り組みを行う際に、要する費用を支援する制度です。

美容室は「商業・サービス業」に該当するため、常時使用する従業員の数が5人以下の小規模事業者が対象となります。

ホームページ制作や新サービスの導入など様々な取り組みが対象となり、比較的手続きも優しいため、少人数で運営することが多い美容室にとって活用しやすい補助金です。

対象者 宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業
(常時使用する従業員の数 5人以下)

宿泊業・娯楽業
(常時使用する従業員の数 20人以下)

製造業その他
(常時使用する従業員の数 20人以下)

※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。

給付額 補助率3/4
補助上限額100万円
申請期間 第1回受付締切日 2020年 3月31日(火)(郵送:締切日当日消印有効)
第2回受付締切日 2020年 6月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第3回受付締切日 2020年 10月2日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第4回受付締切日 2021年 2月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第5回受付締切日 2021年 6月4日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第6回受付締切日 2021年10月1日(金)(郵送:締切日当日消印有効)
第7回受付締切日 2022年 2月 4日(金)(郵送:締切日当日消印有効)

設備投資

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、新商品・新サービスの開発や、設備投資などを行い、生産性向上を目指す中小企業や小規模事業者を支援する制度です。

ものづくり補助金と呼ばれることから製造業に限定した補助金と思われがちですが、美容室であればオリジナルヘアケア製品の開発や、新メニューの開発などにも活用することができます。

美容室の場合、資本金5,000万円以下または常時雇用している従業員の人数が100名以下の事業所が対象となります。

対象者 日本国内に本社及び補助事業の実施場所を有する中小企業者及び特定非営利活動法人
給付額 100万円~1,000万円
申請期間 1次 令和2年~3/31
2次 令和2年4/1~5/20
3次 令和2年5/21~8/3
4次 令和2年8/4~12/18
5次 令和2年12/19~令和3年2/22

IT化

IT導入補助金

「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者が自社課題の解決や業務効率化、売上の拡大を目的として、ITツールを導入した際に要した費用の一部を補助する制度です。

美容室では、ホームページの作成、顧客管理システムやPOSシステムの導入、経理などの事務作業を自動化するソフトウェアの導入など、幅広い用途に活用することができます。

また、新型コロナウイルス感染症対策の一環でITツールを導入した場合の費用が補助される、低感染リスク型ビズネス枠も設けられています。

対象者 中小企業・小規模事業者
給付額 最大450万円
申請期間 2021年
1次締切分 2021年5月14日(金)
2次締切分 2021年7月30日(金)
3次締切分 2021年9月30日(木)
4次締切分 2021年11月17日(水)
5次締切分 12月中予定

人材育成・雇用

キャリアアップ助成金

「キャリアアップ助成金」は、派遣社員やアルバイト、パートタイマーなどの非正規雇用労働者に対して、正社員への転換、賃金規定の改訂や諸手当制度の整備などの処遇改善を行った事業主を助成する制度です。

労働者の就労意欲を高めて、優秀な人材の確保と事業の生産性を向上させることを目的としており、非正規雇用労働者が多いとされる美容室でも活用しやすい助成金でしょう。

正社員化コースの他に、賃金規定等改定、諸手当制度等共通化など合計7つのコースが設けられています。

対象者 雇用保険適用事業所の事業主
給付額 有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合

中小企業
①有期→正規 57万円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合72万円(1人当たり)

②有期→無期 28万5,000円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合36万円(1人当たり)

③無期→正規 28万5,000円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合36万円(1人当たり)

中小企業以外
①有期→正規 42万7,500円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合54万円(1人当たり)

②有期→無期 21万3,750円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合27万円(1人当たり)

③無期→正規 21万3,750円(1人当たり) 生産性の向上が認められる場合27万円(1人当たり)

申請期間 実際に賃金が支給された日の翌日から起算して2か月以内

トライアル雇用助成金

「トライアル雇用助成金」は、離職期間が1年以上あったり、職業経験が乏しかったりなどの理由で就職が困難な求職者を、原則3か月の試用期間を設けて雇用した事業主を助成を行う制度です。

事業主、労働者共に業務への適性を見極めた上で雇用の継続を決定することができ、雇用機会の創出や人手不足の解消などのメリットがあります。

育児や介護などで数年現場を離れている美容師を雇用する際に申請できるなど、美容室でも活用しやすい助成金です。

対象者
  1. 対象労働者がハローワーク、地方運輸局(船員となる場合)または職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」という。)の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のイ〜ニのいずれにも該当しない者であること。
    1. 安定した職業に就いている者
    2. 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実動時間が30時間以上の者
    3. 学校に在籍している者(在籍している学校を卒業する日の属する年度の1月1日を経過している者であって卒業後の就職内定がないものは除く。)
    4. トライアル雇用期間中の者
  2. 次のイ〜ヘのいずれかに該当する者
    1. 紹介日前2日以内に、2回以上離職又は転職を繰り返している者
    2. 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
    3. 妊娠、出産又は育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間(離職前の期間は含めない。)が1年を超えているもの
    4. 紹介日において、ニートやフリーター等で55歳未満である者
    5. 紹介日において就職支援に当たって特別の配慮を有する次のa〜iまでのいずれかに該当する者
      1. 生活保護受給者
      2. 母子家庭の母等
      3. 父子家庭の父
      4. 日雇労働者
      5. 季節労働者
      6. 中国残留法人等永住帰国者
      7. ホームレス
      8. 住居喪失不安定就労者
      9. 生活困窮者
  3. ハローワーク・紹介事業者等に提出された求人に対して、ハローワーク・紹介事業者等の紹介により雇い入れること
  4. 原則3ヵ月のトライアル雇用をすること
  5. 1週間の所定労働時間が原則として通常の労働者と同程度(30時間(上記(2)d、gまたはhに該当する者の場合は20時間)を下回らないこと)であること
給付額
  1. 本助成金の支給額は、支給対象者1人につき月額4万円です。※対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、1人につき月額5万円となります。
  2. ただし、次のイまたはロの場合、その月分の月額は、それぞれに示す期間中に実際に就労した日数に基づいて次のハによって計算した額となります。
    1. 次のa〜bのいずれかの場合であって、トライアル雇用に係る雇用期間が1か月に満たない月がある場合
      1. 支給対象者が支給対象期間の途中で離職(次の(a)〜(b)のいずれかの理由による離職に限る)した場合
        離職日の属する月の初日から当該離職日までのトライアル雇用期間中に実際に就労した日数

        1. (a) 本人の責めに帰すべき理由による解雇
        2. (b) 本人の都合による退職
        3. (c) 本人の死亡
        4. (d) 天災その他のやむを得ない理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇
      2. トライアル雇用の支給対象期間の途中で常用雇用へ移行した場合
        常用移行への移行日の前日の属する月の初日から当該移行日の前日までのトライアル雇用期間中に実際に就労した日数
    2. 支給対象者本人の都合による休暇またはトライアル雇用事業主の都合による休業があった場合
      その1か月間に実際に就労した日数(ただし年次有給休暇等法令により事業主が労働者に対し付与を義務付けられている休暇は就労した日数とみなす)
    3. 支給対象期間中のある月において、支給対象者が就労を予定していた日数に対する実際に就労した日数の割合(A)が次表の左欄の場合、当該月の月額は右欄になります。

 

A = (支給対象者が1か月間に実際に就労した日数)

(支給対象者が当該1か月間に就労を予定していた日数)

 

(母子家庭の母等又は父子家庭の父以外の場合)
割合 月額
A ≥ 75% 4万円
75% > A ≥ 50% 3万円
50% > A ≥ 25% 2万円
25% > A > 0% 1万円
A = 0% 0円
(母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合)
割合 月額
A ≥ 75% 5万円
75% > A ≥ 50% 3.75万円
50% > A ≥ 25% 2.5万円
25% > A > 0% 1.25万円
A = 0% 0円
申請期間 ※トライアル雇用開始日から2週間以内に、対象者を紹介したハローワークに実施計画書を提出

※助成金を受給するためには、トライアル雇用終了日の翌日から起算して2ヵ月以内に、事業所を管轄するハローワークまたは労働局に支給申請書を提出する必要があります。

雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置)

「雇用調整助成金」の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置は、当該感染症の影響により事業の縮小や休業をした場合に、労働者の雇用を維持するべく雇用調整を行った事業主に対して、休業手当などの費用の一部を助成する制度です。

アルバイトやパート労働者も対象であり、1日1人あたり15,000円を上限として支給されます。

営業時間の短縮や休業などにより、売上の減少や従業員の雇用維持に悩む美容室の方は、積極的に活用したい助成金です。

対象者 新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、以下の条件を満たす全ての業種の事業主を対象としています。

1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している

2.最近1ヶ月間の売上高又は生産量などが前年同月比5%以上減少している(※)

※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。

3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている

給付額 全企業共通(※令和4年1月以降は、施行にあたって厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点での予定です。)

判定基礎期間の初日→一人一日あたりの上限額

・令和3年12月まで→13,500円〜15,000円

・令和4年1月・2月(予定)→11,000円〜15,000円

・令和4年3月(予定)→9,000円〜15,000円

申請期間 令和3年5月〜

雇用調整助成金

「雇用調整助成金」は、景気の変動や産業間の関係の変化など経済上の理由により、事業の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用維持を目的とし、一時的な休業や出向、教育訓練を実施した際に、要した休業手当や賃金の一部が助成される制度です。

美容室の売り上げが思わしくない状況でも、従業員に休業や出向を命ずることで、従業員を解雇せずに済み、雇用を維持することができます。

また、教育訓練も対象となるため、人材育成にも活用したい助成金です。

対象者 (1)雇用保険の適用事業主であること。

(2)売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること。

(3)雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数に夜雇用量を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと。

(4)実施する雇用調整が一定の基準を満たすものであること。

 ①休業の場合

  労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施されるものであること。

 ②教育訓練の場合

  ①と同様の基準のほか、教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の修得や向上を目的とするものであり、当該受講日において業務(本助成金の対象となる教育訓練を除く)に就かないものであること。

 ③出向の場合

  対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事務所に復帰するものであること。

(5)過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること。

給付額 受給額は、休業を実施した場合、事業主が支払った休業手当負担額、教育訓練を実施した場合、賃金負担額の相当額に次の(1)の助成率を乗じた額です。

ただし教育訓練を行った場合は、これに(2)の額が加算されます。(ただし受給額の計算に当たっては、1人1日あたり8,265円を上限とするなど、いくつかの基準があります。)

休業・教育訓練の場合、その初日から1年の間に最大100日分、3年の間に最大150日分受給できます。出向の場合は最長1年の出向期間中受給できます。

(1)休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成(率)

※対象労働者1人あたり8,265円が上限です。(令和3年8月1日現在)

中小企業:2/3

中小企業以外:1/2

(2)教育訓練を実施したときの加算(額)

1人1日当たり 1,200円

申請期間 判定基礎期間終了後、2か月以内

事業承継

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、ポストコロナ、ウィズコロナ時代の経済環境に対応するべく、事業モデルの転換や新分野の開拓、事業の再編や拡大などに取り組む事業主を支援する制度です。

美容室は新型コロナウイルス感染症の影響による緊急事態宣言の休業要請対象外とされていたものの、売上の減少に悩む事業者も多いです。

事業再構築補助金は最大補助額も大きため、新サービスや新製品の展開や販売促進など思い切った事業再構築に取り組みたい美容室にとって、役立つ補助金です。

対象者 日本国内に本社がある法人で、中小企業者等及び中堅企業に限ります
給付額 1.中小企業(通常枠)

・補助率2/3
・補助額
【従業員数20人以下】100万円~4,000万円
【従業員数21~50人】100万円~6,000万円
【従業員数51人以上】100万円~8,000万円

2.中小企業(卒業枠)(400社に限る)

・補助率2/3
・補助額~1億円

3.中堅企業(通常枠)

・補助率1/2
・補助額100万円~8000万円

4.中堅企業(グローバルV字回復枠)(100社に限る)

以下の要件を満たす中堅企業向け特別枠。
 ①直前6カ月間の中から、売上高の低い3カ月の合計売上高がコロナ以前の3カ月の合計売上高と比較し、15%以上売上減少している中堅企業。

 ②事業終了後3~5年が経ち、付加価値額又は一人当たりの従業員の付加価値額の年率が5.0%以上増加を達成すること。

 ③グローバル展開を果たす対象事業であること。

申請期間 第1回公募締切 2021年5月7日18:00
第2回公募締切 2021年7月2日18:00
第3回公募締切 2021年9月21日18:00
第4回公募締切 2021年12月21日18:00
第5回公募締切 2022年3月頃