海外展開のために利用できる補助金・助成金4選

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中小企業や小規模事業者が海外展開を検討するにあたって、補助金・助成金の活用は必要不可欠です。

政府により、海外展開を行う際に活用することができる補助金・助成金制度が設けられていますが、制度の煩雑さや種類の多さから、何を選べば良いのか分からないという経営者の方も多いのではないでしょうか。

今回は、海外展開を行う上で活用しやすい補助金・助成金制度を4つと、補助金・助成金を活用するメリット、デメリットなどについて詳しく解説いたします。

海外展開のために活用できる補助金・助成金とは

海外展開のために活用できる補助金・助成金とは、海外視察や市場調査を行うために必要となるマーケティング費用、新製品やサービスの開発費、設備投資費、コンサルタント費用などを調達することができる制度です。

一般的に、海外展開を検討するためには多額の費用投資が必要となりますが、補助金・助成金制度をうまく活用することで、自己資金を抑えながらより戦略的にビジネスチャンスを拡大することができます。

海外市場への参入を目指す経営者の方、積極的な制度活用を検討しましょう。

海外展開のために利用できる補助金一覧

海外展開のために活用することができる補助金・助成金には、様々な制度が設けられています。

今回は、中小企業・小規模事業者でも活用しやすい補助金・助成金を一覧にしてまとめました。

どのような補助金・助成金制度を活用することができるのか、海外展開に向けた他社の活用事例などを詳しく知りたい経営者の方は、特に参考にしてください。

日本産農林水産物・食品の輸出商談等緊急支援事業

「日本産農林水産物・食品の輸出商談等緊急支援事業」は、日本産の農林水産物や食品の輸出商流の構築を目指し、海外に赴き商談等を行うために必要となる費用の一部を支援することを目的とした制度です。

新型コロナウイルス感染症の拡大により現地での商談を行うことが困難な場合には、オンライン設備の導入費用が補助されることもあり、和牛や米などの日本ブランド輸出拡大へ向けて活用することができます。

対象者 日本国内の生産者・事業者・輸出商社等
給付額 補助率 1/2
1計画辺り上限100万円

海外展開・事業再編資金

「海外展開・事業再編資金」は、日本政策金融公庫により設けられた融資制度で、経済や産業の構造的変化に適応するために、海外地域での事業展開や、海外展開事業の再編に向けて前向きに取り組む中小企業等を支援することを目的としています。

クールジャパンの推進に資する事業、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)を発行または署名している国で海外展開事業を行う場合などには、特別金利での資金調達を行うことが可能となります。

対象者 次の1、2または3のいずれかに該当する方

経済の構造的変化などに適応するために海外展開することが経営上必要であり、次の(1)~(3)の全てに該当する方

(1)開始または拡大しようとする海外展開事業が、当該中小企業の本邦内における事業の延長と認められる程度の規模を有するものであること

(2)本邦内において、事業活動拠点(本社)が存続すること

(3)経営革新の一環として、海外市場での取引を進めようとするもので、次の(ア)~(エ)のいずれかに該当すること

(ア)取引先の海外進出に伴い、海外展開をすること

(イ)原材料の供給事情により、海外進出をすること

(ウ)労働力不足により、海外進出をすること

(エ)国内市場の縮小により、海外市場の開拓・確保に依らないと成長が見込めないため海外展開すること

海外における経済の構造的変化などに適応するために次の(1)および(2)を満たす方

(1)海外直接投資に係る海外展開事業を再編(全部または一部を、移転または廃止することを含む。)することが、経営上必要であること

(2)本邦内における事業活動は継続し、中長期的にみて発展することが見込まれること

海外直接投資に係る海外展開事業の業況悪化などにより、本邦内における事業活動が影響を受けている方

融資限度額 直接貸付 別枠14億4千万円(うち運転資金9億6千万円)
代理貸付 別枠1億2千万円

新創業融資制度

「新創業融資制度」は、日本政策金融公庫により設けられた融資制度で、創業間もない方や、新たに事業を開始する方に向けて、無担保・無保証人での創業資金の貸出を行い、中小企業・小規模事業者等の成長を支援することを目的としています。

事業を始めたばかりの方や、将来的に海外展開を見据えて創業を検討している方でも活用することが可能で、設備投資費や運転資金として最大で3,000万円まで融資を受けることができます。

対象者 次のすべての要件に該当する方

対象者の要件

新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方(注1)

自己資金の要件(注2)

新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方

ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします(注3)。

融資限度額 3,000万円(うち運転資金1,500万円)

中小機構ファンド出資事業

「中小機構ファンド出資事業」は、投資ファンドへの出資を通じて、中小企業者、ベンチャー企業へリスクマネーを提供し、事業拡大や新事業の創出、事業再生、事業承継などを支援することを目的とした制度です。

「起業支援ファンド」「中小企業成長支援ファンド」「中小企業再生ファンド」の3つの出資事業を行っている他、2021年3月からは中小企業・小規模事業者のSDGsへの理解促進と趣旨に沿った事業活動の支援を目的とした「中小企業SDGs応援宣言」を公表しています。

対象者 ※起業支援ファンドの場合

創業又は成長初期の段階にある中小企業者(主に設立5年以内)の方々を支援

給付額 ファンド総額の1/2を出資

株式取得等による資金提供、GP(株式会社)による経営面のハンズオン支援及び中小機構からの各種支援

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補助金と助成金の違い

ここまで、海外展開の際に活用することができる補助金・助成金制度について解説いたしました。

海外展開を行う際には多額の費用投資が必要となりますが、補助金・助成金をうまく活用することで、海外市場でのビジネスチャンスを大きく拡大することができます。

ここでは、補助金と助成金の違いやメリット・デメリットについて詳しく解説いたします。

海外展開に向けて制度を活用したい経営者の方は、是非参考にしてください。

補助金とは

補助金とは、政府や地方公共団体などから一定の要件を満たした個人や企業に対して支出される資金で、原則として返済義務がありません。

数百万円から数千万円単位で資金補助が行われることが多く、多額の費用投資が必要となる海外展開においては、積極的に活用を検討したい制度です。

より採択率を高めるためには、中小企業診断士や行政書士などの補助金業務に特化したプロのアドバイスを元に、申請書の作成を行うことがポイントとなります。

メリット・デメリット

補助金を活用するメリットとして、海外展開を行うために必要となる様々な費用を調達することが可能で、自己資金を抑えながら市場調査やプロによるコンサルタントを受けることができます。

一方で、デメリットとしては、補助金は、その多くが最大採択件数や予算が定められており、要件を満たした申請を行っても必ずしも採択されるとは限らないという点が挙げられます。

また、公募期間も比較的短いものが多く、自社にとって必要となる補助金がいつ公募されているのかを十分に見極めなければならないという点にも注意が必要です。

補助金の申請方法

補助金は、自社で申請書や計画を作成して申請を行うことも可能です。

しかし、採択率を上げるための書類作成、公募期間の見極め、採択後の補助金の使途報告書類の作成など、補助金の申請を行うためには煩雑な手続きが伴います。

少しでもうまく補助金を活用するためには、中小企業診断士、行政書士、税理士等の専門家によるサポートを受けながら申請を行うことをオススメいたします。

助成金とは

助成金とは、補助金と同様に、政府や地方公共団体などから一定の要件を満たした個人や企業に対して支出される資金で、原則として返済義務はありません。

しかし、助成金は、受給するための要件がしっかりと定められており、要件を満たした申請を行えば原則として助成金を受け取ることができます。

また、通年で申請を行うことができる制度が多いことも助成金の特徴として挙げることが可能で、公募期間に囚われることなく長期間に渡り海外展開に向けた準備を進めることができます。

メリット・デメリット

助成金を活用するメリットとして、一定の要件を満たした申請を行えば原則として助成金を受給することが可能で、補助金と比較した際の申請を行うためのハードルが低いということが挙げられます。

一方、デメリットとしては、採択された場合に受け取ることができる金額が補助金と比べた場合に低いことが多く、多額の費用投資が必要となる海外展開においては、十分な資金調達を行うことができない場合があります。

補助金と助成金の特徴を知り、自社の取組みに沿った制度をうまく活用することが大切です。

助成金の申請方法

助成金も、補助金と同様に、自社で申請書や計画書を作成して申請することが可能です。

助成金の多くは、取り組み終了後の2か月以内に申請を行わなければならないため、自社で申請を行う際には締切に注意をしながら手続きを進めることが重要です。

また、自社での申請が難しい場合には、助成金業務に特化した社会保険労務士事務所に代理申請を行なってもらうことも可能です。

どの様な制度を活用することができるのかといったアドバイス等も随時行ってもらえるため、是非専門家へと相談を行うことをオススメいたします。

海外展開に関する補助金・助成金を有効活用しよう!

今回は、海外展開に活用することができる補助金・助成金を4つと、補助金・助成金を活用するメリット、デメリットなどについて解説しました。

多額の費用投資が必要となる海外展開においては、補助金・助成金の活用は必要不可欠となります。

補助金・助成金をうまく活用しながら、是非自社のビジネスチャンスを広げてください。

また、補助金・助成金の申請業務を専門に行う士業事務所も多数存在し、海外展開に向けたサポートやコンサルタントなども受けることができます。

今後の事業展開に向けて、専門家へ相談することも検討されてみてはいかがでしょうか。
 

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