事業承継のために利用できる補助金・助成金7選【2022年】

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中小企業・小規模事業者等が事業承継を行うにあたっては、補助金・助成金の活用が有効的です。

政府により、事業承継を行う際に活用することができる様々な制度が設けられていますが、種類の多さや煩雑な内容から、自社に合った制度が何か分からないという経営者の方も多いのではないでしょうか。

今回は、事業承継を行う上で活用しやすい補助金・助成金制度を7つと、補助金・助成金の違いなどについて詳しく解説いたします。

事業承継のために活用できる補助金・助成金とは

事業承継のために活用することができる補助金・助成金とは、事業承継後に新規事業を開始する際に必要となる資金調達や、税制面での優遇措置を受けることができる制度です。

中小企業・小規模事業者等の後継者不足が社会的な課題とされる中で、補助金・助成金制度をうまく活用することで、事業承継や新たな担い手の育成を行うことができます。

事業承継を考える経営者の方は、積極的な補助金・助成金制度の活用を検討しましょう。

事業承継のために利用できる補助金一覧

事業承継のために活用することができる補助金・助成金には、様々な制度が設けられています。

今回は、後継者不足に悩む中小企業・小規模事業者等の経営者の方が活用しやすい補助金・助成金制度を一覧にしてまとめました。

事業承継を行う際にどの様な制度を活用することができるのか、他社の活用事例なども踏まえて詳しく知りたい経営者の方は、特に参考にしてください。

事業承継円滑化のための税制措置(法人版事業承継税制)

「事業承継円滑化のための税制措置(法人版事業承継税制)」は、中小企業・小規模事業者等が円滑に事業承継を進められる様に、税制面での優遇措置を設けることを目的とした制度です。

法人版事業承継税制においては、事業後継者となる相続人・受贈者等が、非上場会社の株式等を相続又は贈与等により取得した場合に、一定の要件のもと、贈与税や相続税の納付が猶予・免除されることから、事業承継を有効的に進めることができます。

対象者 ※事業承継税制の場合現経営者が後継者に自社株を相続または贈与により承継する場合
給付額 100%免除
申請期間 2018年1月1日〜2027年12月31日まで

事業承継特別保証

「事業承継特別保証」は、全国信用保証協会連合会により設けられた保証制度です。

経営者保証不要で利用が可能であり、また、経営者保証ありの既存の借入金に対しても、借換を行うことで経営者保証を不要にできる制度です。

経済産業省の委託又はその委託を受けた者による再委託を受けた専門家である、「経営者保証コーディネーター」による確認を受けた場合には、大幅に保証料率が軽減される特例も設けられています。

対象者 次の(1)又は(2)に該当し、かつ、(3)に該当する中小企業者※1(1)信用保証協会の保証申込受付日から3年以内に事業承継を予定する事業承継計画を有する法人

(2)令和2年1月1日から令和7年3月31日までに事業承継を実施した法人であって、事業承継日から3年を経過していないもの

(3)次の①から④までに定める全ての要件を満たすこと

①資産超過であること

②EBITDA有利子負債倍率※2が10倍以内であること

③法人・個人の分離がなされていること

④返済緩和している借入金がないこと

※1 個人事業主は対象外です

※2 EBITDA有利子負債倍率=(借入金・社債-現預金)÷(営業利益+減価償却費)

保証限度額 2億8,000万円(組合4億8,000万円)
申請期間 随時

経営承継関連保証

「経営承継関連保証」は、全国信用保証協会連合会により設定された保証制度です。

議決権株式の取得資金、事業用資産の取得資金、事業用資産等に係る相続税又は贈与税の納税資金、遺産分割に伴う返済資金又は遺留分侵害学の請求に基づき支払うべき金銭の額、運転資金など、中小企業者が経営の承継を行う際に必要となる資金に利用することが可能で、最大で2億8,000万円まで保証を受けることができます。

対象者 各都道府県に事務所又は営業所を有し、経営の承継に関し中小企業経営承継円滑化法に基づき経済産業大臣の認定を受けた会社又は個人。但し、認定を受けた日の翌日から起算して1年を経過する日までに保証の申込を行うもの。
保証限度額 最大 2億8,000万円
申請期間 随時

特定経営承継準備関連保証

「特定経営承継準備関連保証」は、全国信用保証協会連合会により設けられた保証制度で、後継者となる中小企業者の代表者が、経営の承継に伴い当該中小企業者以外の者から資産を取得するために必要な資金に対して利用すること可能です。

株式等の取得資金、事業用資産の取得資金、事業用資産等に係る相続税又は贈与税の納税資金、遺産分割に伴う返済資金又は遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額など、幅広い資産の取得に対して保証を受けることができます。

対象者 各都道府県に事務所又は営業所を有し、経営の承継に関し中小企業経営承継円滑化法に基づき経済産業大臣の認定を受けた中小企業者(以下「認定中小企業者」という。)の代表者。但し、認定を受けた日の翌日から起算して1年を経過する日までに保証の申込を行うもの。
貸付上限額 最大 2億8,000万円
申請期間 随時

経営承継準備関連保証

「経営承継準備関連保証」は、全国信用保証協会連合会により設置された保証制度で、M&Aによる事業承継を行う際に必要となる資金に対して利用することができます。

経営承継円滑化法第12条第1項第1号ハに該当し、一定の要件を満たす中小企業者の場合には連帯保証人無しで利用することが可能で、株式等の取得資金、事業用資産等の取得資金に対して最大2億8,000万円まで保証を受けることができます。

対象者 他の中小企業者が経営を承継しようとする者の確保が困難である等、事業活動の継続に支障が生じていることについて、中小企業経営承継円滑化法に基づき経済産業大臣の認定を受けた会社又は個人。但し、認定を受けた日の翌日から起算して1年を経過する日までに保証の申込を行うもの。
貸付上限額 最大 2億8,000万円
申請期間 随時

特定経営承継関連保証

「特定経営承継関連保証」は、全国信用保証協会連合会により設けられた保証制度で、従業員が自社の株式を買い取り、経営権を取得するEBO等による事業承継を行う際に必要となる資金に利用することができます。

後継者不足が課題とされる中小企業においては、従業員によるM&Aが行われる機会も増えており、本制度を活用することで、株式等の取得資金、事業用資産等の取得資金に対して最大で2億8,000万円までの保証を受けることができます。

対象者 事業承継に伴い、事業活動の継続に支障が生じているとして、経済産業大臣の認定を受けた中小企業者の代表者個人
保証限度額 最大 2億8,000万円
申請期間 随時

伝統的工芸品産業支援補助金

「伝統的工芸品産業支援補助金」は、伝統的工芸品産業の振興に関する法律の規定に基づき、経済産業大臣が指定する工芸品の団体、組合及び事業者等が実施する事業に要する費用の一部に補助金を支出することにより、伝統的工芸品産業の振興を図ることを目的とした制度です。

若手後継者の創出育成事業、各産地における伝統的工芸品の原材料確保対策事業のほか、他産地や観光業など異分野との連携事業などに対しても本制度を活用することができます。

対象者 補助対象となるのは、次の(1)~(5)のいずれかに該当する事業です。(1)振興計画(伝産法第4条)に基づく事業

後継者育成事業

イ:後継者・従事者育成事業

ロ:若年層等後継者創出育成事業

技術・技法の記録収集・保存事業

原材料確保対策事業

需要開拓事業

意匠開発事業

【補助対象者】特定製造協同組合等

(2)共同振興計画(伝産法第7条)に基づく事業

需要開拓等共同展開事業

新商品共同開発事業

【補助対象者】特定製造協同組合等及び販売事業者・販売協同組合等

(3)活性化計画(伝産法第9条)に基づく事業

活性化事業

【補助対象者】製造事業者又はそのグループ及び製造協同組合等

(4)連携活性化計画(伝産法第11条)に基づく事業

連携活性化事業

【補助対象者】製造事業者又はそのグループ及び製造協同組合等であって、他の伝統的工芸品の製造事業者や他の業種の事業者等と共同して事業を行う者。

(5)支援計画(伝産法第13条)に基づく事業

人材育成・交流支援事業

産地プロデューサー事業

【補助対象者】伝統的工芸品産業の支援事業を実施しようとする事業者・団体等

給付額 下限50万円 上限2,000万円
申請期間 2022年1月6日(木)~2022年 2月10日(木)17:00

補助金と助成金の違い

事業承継を行う際には株式取得や後継者育成などに多くの費用が必要となりますが、補助金・助成金をうまく活用することで、円滑に事業承継を進めることができます。

ここでは、補助金と助成金の違いやメリット・デメリットについて詳しく解説いたします。

補助金とは

補助金とは、政府や民間の財団などから一定の要件を満たした個人や企業に対して支出される資金です。

原則として返済義務はなく、事業承継以外にも、販路開拓や新製品の開発など、多くの用途に合わせて活用することができます。

採択された場合には、数百万円から数千万円単位で資金補助が行われることが多く、ビジネスチャンス拡大に向けて積極的な活用を検討したい制度です。

メリット・デメリット

補助金を活用するメリットは、採択された場合に大きな費用補助(数百万円〜数千万円)を受けることが可能なことです。

一方、デメリットとして、補助金は申請を行なっても必ずしも採択されるとは限らず、公募期間も比較的短いものが多いため、必要な時に必要な補助を受けられないことがある点には注意が必要です。

補助金の申請方法

補助金は、自社で申請を行うことも可能ですが、採択率を上げるためには、しっかりとした事業計画を作成する必要があります。

中小企業診断士や行政書士など、経営や行政手続きの専門家によるサポートを受けながら申請を行うことが採択率の向上に繋がります。

助成金とは

助成金とは、一定の受給要件を満たした個人や企業に対して支出される資金です。

補助金と同様に、返済義務はありませんが、要件を満たした申請を行った場合には原則として費用助成を受けられるという点に補助金との違いがあります。

メリット・デメリット

助成金を活用するメリットとして、一定の要件を満たした申請を行えば、原則として費用助成を受けられるということが挙げられます。

一方、デメリットとしては、補助金と比較した際に採択時に受けられる金額が低額な場合が多く、多額の費用が必要となる事業承継においては、十分な資金調達ができないこともあります。

助成金の申請方法

助成金も自社で申請書と計画書を作成して申請することが可能です。

一方で、自社での申請書類作成が困難な場合には、助成金業務に特化した社会保険労務士に代理申請を依頼することもできます。

専門家のアドバイスを貰いながら事業に取り組むことで、より多くの資金調達を行うことにも繋がります。

事業承継に関する補助金・助成金を有効活用しよう!

今回は、事業承継を行う際に活用することができる補助金・助成金制度を7つと、補助金・助成金の違いなどについて解説しました。

株式取得や後継者育成など、多くの費用が必要となる事業承継においては、補助金・助成金を活用することが必要不可欠です。

また、補助金・助成金の申請サポートを専門業務とする士業事務所も多く存在します。

専門家によるコンサルタントを受けることが採択率の向上にも繋がりますので、初めて補助金・助成金制度を利用される経営者の方は、是非一度プロへ相談されてみてはいかがでしょうか。