政府より、飲食店経営に取り組む事業者が活用できる補助金・助成金制度が設けられています。
優秀な人材の確保、新製品や新サービスの導入、業態転換や設備投資などは、補助金・助成金制度を活用することで効果的に推進することができます。
今回は、その中でも特に活用しやすい補助金・助成金制度を9つピックアップしました。
採択・支援事例
新規事業に利用できる補助金・助成金制度は、優秀な人材の確保、新製品や新サービスの導入、業態転換や設備投資などで採択・支援事例があります。
テイクアウト事業の展開、店舗改装、セルフレジや非対面型決済機器、タブレットの導入などを目指す事業者の方は、補助金・助成金制度の積極的な活用をご検討ください。
販路開拓
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓などの取組みや、業務効率化の取組みを支援するため、予算の範囲内において補助金を交付することを目的とした制度です。
本制度の採択事例としては、非対面型飲食店への転換、カフェのブランド化によるテイクアウト拡大などが挙げられ、通常枠の場合では1事業者あたり最大50万円の交付が予定されています。
対象者 | ※以下、通常枠の場合 補助金の補助対象者は、(1)から(4)に掲げる要件(条件)をいずれも満たす日本国内に所在する小規模事業者(個人、又は日本国内に本店を有する法人)等(単独または複数)であることとされています。 (1)小規模事業者であること 中小企業基本法に定められた「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律」において、業種ごとに従業員数で小規模事業者であるか否かを判断しています。 ・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) 常時使用する従業員の数5人以下 ・サービス業のうち宿泊業・娯楽業 常時使用する従業員の数20人以下 ・製造業その他 常時使用する従業員の数20人以下 (2)資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有されていないこと(法人のみ) (3)確定している(申告済みの)直近過去3年分の「各年」又は「各事業年度」の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと ※上記への該当の有無の確認のため、必要がある場合には、納税証明書等の提出を求められることがあります。 (4)下記2つの事業において、本補助金の受付締切日の前10か月以内に、先行する受付締切回で採択を受けて、補助事業を実施ししていないこと(共同申請の参画事業者の場合も含みます)。 ①「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>」 ②「令和2年度第3次補正予算 小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>」 ※採択日から起算して10か月を算定する。 |
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給付額 | 上限50万円 補助率2/3以内 |
申請期間 | 第16次締切:2024年5月8日(水)〜2024年5月27日(月)まで |
資金繰り
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売り上げの回復が期待しづらい中、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するために、予算の範囲内において補助金を交付することを目的とした制度です。
本制度の採択事例としては、レストランから小売業へ業態転換、飲食店による冷凍食品製造とECサイト販売の着手などが挙げられ、1事業者あたり最大7,000万円の交付が予定されています。
対象者 | ※以下、成長分野進出枠(通常類型)の場合 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業者で事業計画を金融機関等や認定経営革新等支援機関と策定し、確認を受けていること 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、または従業員一人当たり付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加、事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること。 取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること |
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給付額 | 【従業員数20人以下】100万円~1,500万円(2,000万円) 【従業員数21~50人】100万円~3,000万円(4,000万円) 【従業員数51~100人】100万円~4,000万円(5,000万円) 【従業員数101人以上】100万円~6,000万円(7,000万円) カッコ内は短期に大規模な賃上げ(事業終了時点で、①事業場内最低賃金+45円、②給与支給総額+6%を達成)を行う場合。 また、廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せする。 |
申請期間 | 2024年4月23日(火)〜2024年7月26日(金)まで |
IT化
IT導入補助金
「IT導入補助金」は、中小企業・小規模事業者等が生産性向上に役立つITツールを導入する際に、必要となる経費の一部を予算の範囲内において補助することを目的とした制度です。
本制度の採択事例としては、セルフレジと急速冷凍機の導入による省人化、セルフオーダーシステムの導入による生産性の向上、ウェブ予約システムの活用などが挙げられ、1事業者あたり最大450万円の交付が予定されています。
対象者 | ※以下、通常枠の場合 IT導入補助金の対象となる中小企業の業種は次の通りです。資本金や従業員数(常勤)のうち、どちらか一方が下記以下であれば、補助金の対象となります。 製造業、建設業、運輸業…資本金3億円、従業員300人 卸売業…資本金1億円、従業員100人 サービス業(下記業種を除く)…資本金5,000万円、従業員100人 ソフトウエア業又は情報処理サービス業…資本金3億円、従業員300人 旅館業…資本金5,000万円、従業員200人 小売業…資本金5,000万円、従業員50人 ゴム製品製造業(タイヤ製造業等を除く)…資本金3億円、従業員900人 その他の業種…資本金3億円、従業員300人 |
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給付額 | 上限450万円 |
申請期間 | 1次締切:2024年3月15日(金)まで 2次締切:2024年4月15日(月)まで 3次締切:2024年5月20日(金)まで 4次締切:2024年6月19日(水)まで 5次締切:2024年7月19日(金)まで 6次締切:2024年8月23日(金)まで |
経営改善
業務改善助成金
「業務改善助成金」は、生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成することを目的とした制度です。
本制度の採択事例としては、スチームコンベクションオーブン、食材スライサー、業務用製氷器の導入などが挙げられ、30円コースの場合には1事業者あたり最大120万円の交付が予定されています。
対象者 | ※以下、30円コースの場合 (1)中小企業・小規模事業者であること。 (2)事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である こと。 (3)解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がないこと。 |
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給付額 | 上限130万円 |
申請期間 | 2024年12月27日(金)まで |
設備投資
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、中小企業などによる生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援するために、予算の範囲内において補助金を交付することを目的とした制度です。
本制度の活用事例としては、果物・野菜を使った「恐竜スイーツ」の開発、独自ノウハウによりそば粉から一貫製造する、本格手打ち十割そばの提供と技術伝承などが挙げられ、1事業者あたり最大1億円の交付が予定されています。
対象者 | ア:資本金又は従業員数(常勤)が一定値以下となる会社又は個人中小企業者(組合関連以外) イ:「中小企業等経営強化法」第2条第1項に規定される、特定の組合に該当する中小企業者(組合・法人関連) ウ:従業員数(常勤)が一定値以下となる個人事業主(小規模企業者・小規模事業者) エ:従業員数、資本金額(または出資総額)や組合などの条件を満たす特定事業者の一部 オ:活動内容や従業員数などの条件を満たす特定非営利活動法人 カ:従業員数が300人以下の「社会福祉法」第32条に規定する所管庁の認可を受け設立されている社会福祉法人 |
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給付額 | 上限1億円 |
申請期間 | 2024年2月13日(火)〜2024年3月1日(金)まで 2024年3月11日(月)〜2024年3月27日(水)まで |
人材育成・雇用
雇用調整助成金
「雇用調整助成金」は、景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に、予算の範囲内において助成金を交付することを目的とした制度です。
本制度を活用することで、中小企業が教育訓練を実施した場合には1人あたり1日1,200円の加算額の支給が予定されており、飲食店経営に精通した人材育成に繋げることができます。
対象者 | 受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。 (1)雇用保険の適用事業主であること。 (2)売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること。 (3)雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近3か月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと。 (4)実施する雇用調整が一定の基準を満たすものであること。 〔1〕休業の場合 労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施されるものであること。 〔2〕教育訓練の場合 〔1〕と同様の基準のほか、教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の習得や向上を目的とするものであること 〔3〕出向の場合 対象期間内に開始され、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであること。 (5)過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること。ただし、令和6年4月1日以降に対象期間の初日がある事業主の場合、前回の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年間ではなく、前回の対象期間内の最後の判定基礎期間末日もしくは支給対象期末日(いずれか遅い日)の翌日から起算して一年を超えていること。 |
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給付額 | 教育訓練加算額 中小企業:1,200円 助成率2/3以内 大企業:1,200円 助成率1/2以内 |
申請期間 | 支給対象期の末日の翌日から2か月以内 |
特定求職者雇用開発助成金
「特定求職者雇用開発助成金」は、高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して、予算の範囲内において助成金を交付することを目的とした制度です。
本制度を活用することで、特定就職困難者コースの場合には対象労働者1人あたり最大240万円の交付が予定されており、多様な人材の確保に繋げることができます。
対象者 | ※以下、特定就職困難者コースの場合 本助成金を受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。 (1)ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等(※1)の紹介により雇い入れること (2)雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること。具体的には次の機関が該当します。 [1]公共職業安定所(ハローワーク) [2]地方運輸局(船員として雇い入れる場合) [3]適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等 特定地方公共団体、厚生労働大臣の許可を受けた有料・無料職業紹介事業者、届出を行った無料職業紹介事業者、または無料船員職業紹介事業者(船員として雇い入れる場合)のうち、本助成金に係る取扱いを行うに当たって、厚生労働省職業安定局長の定める項目のいずれにも同意する旨の届出を労働局長に提出している職業紹介事業者等 |
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給付額 | 上限240万円 |
申請期間 | 各支給対象期の末日の翌日から2か月以内 |
トライアル雇用助成金
「トライアル雇用助成金」は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を原則3か月間試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとするために、予算の範囲内において助成金を交付することを目的とした制度です。
本制度が採択された場合には、対象労働者1人につき月額4万円(対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は5万円)の交付が予定されており、飲食店経営に向けた人材の確保に繋げることができます。
対象者 | ※以下、一般トライアルコースの場合 本助成金は次の1の対象労働者を2の条件で雇い入れた場合に受給することができます。 1 対象労働者 次の[1]から[4]のいずれにも該当する者であること [1]1週間の所定労働時間が30時間以上の無期雇用による雇入れを希望している者であって、トライアル雇用制度を理解した上で、トライアル雇用による雇入れについても希望している者であること [2]ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等(以下「ハローワーク等」という。)に求職申込をしていること [3]ハローワーク等の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のアからエまでのいずれにも該当しない者であること ア 安定した職業に就いている者 イ 自ら事業を営んでいる者又は役員等に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が30時間以上のもの ウ 学校に在籍している者 エ トライアル雇用期間中のトライアル雇用労働者 [4]次のアからオまでのいずれかに該当する者であること ア 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している イ 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている ウ 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている エ 生年月日が1968(昭和43)年4月2日以降で、かつ安定した職業に就いておらず、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている オ 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する(※) ※生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者 2 雇入れの条件 [1]ハローワーク等の紹介により雇い入れること [2]原則3か月のトライアル雇用をすること [3]1週間の所定労働時間が、通常の労働者の1週間の所定労働時間(30時間以上)と同じであること。 |
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給付額 | 対象労働者1人につき4万円 ただし、対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は5万円 |
申請期間 | トライアル雇用終了日の翌日から起算して2か月以内 |
キャリアアップ助成金
「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して、予算の範囲内において助成金を交付することを目的とした制度です。
本制度を活用することで、中小企業の場合には対象労働者1人につき80万円の交付が予定されており、飲食店経営の際に必要となる優秀な人材の確保に繋げることができます。
対象者 | ※以下、正社員化コースの場合 次のすべてに該当する事業者が対象です。 ①雇用保険適用事業所の事業主。 ②雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主。 ③雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主。 ④実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主。 ⑤キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主。 |
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給付額 | 1人あたり 中小企業:80万円(40万円×2期) 大企業:60万円(30万円×2期) |
申請期間 | 正社員化した対象労働者に対し、正規雇用労働者としての賃金を6か月分支給した日の翌日から起算して2か月以内 |