経営者の方が新たに市場開拓を行うにあたって、補助金・助成金の活用は必要不可欠です。
政府により、様々な補助金・助成金が設けられていますが、種類の多さや制度の煩雑さから、何を選べば良いのか分からないという方も多いですよね。
今回は、市場開拓を行う上で活用しやすい補助金・助成金制度を3つと、補助金・助成金を活用するメリット、デメリットなどについて詳しく解説いたします。
市場開拓のために活用できる補助金・助成金とは
市場開拓のために活用できる補助金・助成金とは、新製品の開発や新規サービスを展開するために必要となる設備投資費や宣伝費、市場調査費用、士業によるコンサルタント費用などを調達することができる制度です。
一般的に、新たな市場を開拓するためには多額の費用を投資する必要がありますが、補助金・助成金制度をうまく活用することで、自己資金を抑えながら新たなビジネスチャンスを広げることができます。
事業の拡大を目指す経営者の方は積極的な活用を検討しましょう。
市場開拓のために利用できる補助金一覧
市場開拓のために活用することができる補助金・助成金には様々な制度が設けられています。
今回は、中小企業・小規模事業者でも活用しやすい補助金・助成金を一覧にしてまとめました。
どのような補助金・助成金制度が設けられているのか、市場開拓に向けた活用事例を詳しく知りたい経営者の方は特に参考にしてください。
食品流通改善資金(卸売市場近代化施設、卸売市場機能高度化型施設)
「食品流通改善資金(卸売市場近代化施設、卸売市場機能高度化型施設)」は、日本政策金融公庫により設けられた融資制度で、農林漁業の健全かつ持続的な発展と食料品の安定供給の確保に資するために、卸売市場の施設整備等を支援することを目的とした制度です。
近年、卸売市場の老朽化等が全国的な課題とされていますが、本制度を活用することにより、近代的な魅力のある市場作りや、生鮮食品の流通を強化することができます。
対象者 | ※卸売市場近代化施設の場合開設者(地方公共団体を除く) 卸売業者 仲卸業者 卸売業者等の組織する法人 いずれも中小企業者に限る |
---|---|
融資限度額 | 卸売市場施設 負担額の80%以内(限度額なし) 卸売業者施設、仲卸業者施設 負担額の70%以内(限度額あり) |
申請期間 | 随時 |
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は、小規模事業者等が行う市場開拓や販路開拓に向けた取組みに必要となる費用の一部を支援することを目的とした制度です。
本制度を活用する際は、商工会議所や商工会によるサポートを受けながら経営計画書・補助事業計画書を作成する必要があり、採択された場合には、設備投資費、宣伝費、店舗改装費など、市場開拓を行うために必要となる幅広い費用を補うことができます。
対象者 | 宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業 (常時使用する従業員の数 5人以下)宿泊業・娯楽業 (常時使用する従業員の数 20人以下) 製造業その他 ※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません。 |
---|---|
給付額 | 補助率3/4 補助上限額100万円 |
申請期間 | 第1回受付締切日 2020年 3月31日(火)(郵送:締切日当日消印有効) 第2回受付締切日 2020年 6月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第3回受付締切日 2020年 10月2日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第4回受付締切日 2021年 2月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第5回受付締切日 2021年 6月4日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第6回受付締切日 2021年10月1日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第7回受付締切日 2022年 2月 4日(金)(郵送:締切日当日消印有効) |
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、中小企業・小規模事業者等が売上の回復や需要の拡大に向けて行う市場開拓、業態転換、事業転換など、大胆な取組みに対して必要となる費用の一部を補助することを目的とした制度です。
業種を問わず市場開拓を目指す多くの事業者に活用されており、例えば、首都圏企業に向けたワーケーション施設の展開や、飲食店による高齢者向け配食事業などで本制度が採択された事例があります。
対象者 | 日本国内に本社がある法人で、中小企業者等及び中堅企業に限ります |
---|---|
給付額 | 1.中小企業(通常枠) ・補助率2/3 ・補助額 【従業員数20人以下】100万円~4,000万円 【従業員数21~50人】100万円~6,000万円 【従業員数51人以上】100万円~8,000万円2.中小企業(卒業枠)(400社に限る) ・補助率2/3 ・補助額~1億円 3.中堅企業(通常枠) 4.中堅企業(グローバルV字回復枠)(100社に限る) ①直前6カ月間の中から、売上高の低い3カ月の合計売上高がコロナ以前の3カ月の合計売上高と比較し、15%以上売上減少している中堅企業。 ②事業終了後3〜5年が経ち、付加価値額又は一人当たりの従業員の付加価値額の年率が5.0%以上増加を達成すること。 ③グローバル展開を果たす対象事業であること。 |
申請期間 | 第1回公募締切 2021年5月7日18:00 第2回公募締切 2021年7月2日18:00 第3回公募締切 2021年9月21日18:00 第4回公募締切 2021年12月21日18:00 第5回公募締切 2022年3月頃 |
補助金と助成金の違い
ここまで、市場開拓の際に活用することができる補助金・助成金制度について解説いたしました。
多額の費用が必要となる市場開拓ですが、補助金・助成金をうまく活用することでビジネスチャンスを大きく広げることができます。
ここでは、補助金と助成金の違いについてより詳しく掘り下げて解説いたします。
事業拡大に向けて制度を活用したい経営者の方は、是非参考にしてください。
補助金とは
補助金とは、政府や地方公共団体、民間の財団等から一定の要件を満たした企業や個人に対して支出される資金で、原則として返済する必要はありません。
しかし、補助金の場合は、その多くが予算や最大採択件数が定められているため、申請を行っても必ずしも採択されるとは限りません。
公募方法によっては、早い者勝ちや抽選による採択が行われることもあり、行政書士や中小企業診断士など、補助金業務に特化したプロなどにアドバイスを貰いながら申請を行うことが採択の可能性を上げるためのポイントとなります。
メリット・デメリット
補助金を活用するメリットとして、市場開拓のために必要な幅広い資金を調達することが可能で、自己資金を抑えながら設備投資や自社製品の宣伝を行うことができます。
一方で、デメリットとしては、要件を満たした申請を行っても必ずしも採択されるとは限らないということが挙げられます。
また、一月程の公募期間で終わる制度も多くあり、自社にとって必要な補助金がいつ公募されているのかを見極める必要もあります。
補助金の申請方法
補助金は、自社で計画書や申請書を作成して申請を行うことも可能です。
しかし、公募期間を見極めることや、採択率を上げるための書類作成、採択後の報告書類の作成など、補助金の申請を行うためには様々な課題が存在します。
煩雑な手続きの伴う補助金の申請は、行政書士、中小企業診断士、税理士などの専門家によるサポートを受けながら行うことをオススメいたします。
案件によっても異なりますが、補助金が採択された場合の成功報酬は、採択された金額の10%から25%が相場とされることが多いです。
助成金とは
助成金とは、政府、地方公共団体、民間の財団等により一定の要件を満たした企業や個人に対して支出される資金で、補助金と同様に原則として返済する必要はありません。
しかし、補助金と違い、助成金は、受給するための要件が明確に定められており、要件を満たした申請を行えば原則として助成金を受け取ることができます。
また、通年で申請を行うことができる制度が多く、公募期間に囚われることなくじっくりと事業拡大に向けた取り組みを行うことができます。
メリット・デメリット
助成金を活用するメリットとして、補助金と比べた際に申請を行うためのハードルが低く、一定の要件を満たして申請を行えば原則として助成金を受給できるということが挙げられます。
一方、デメリットとしては、補助金と比べた際に採択された場合に受け取ることができる金額が低い場合が多く、数百万円規模以上での設備投資や、市場開拓に向けた積極的な投資を行いたい場合には、十分な資金調達を行うことができないこともあります。
助成金の申請方法
助成金も、自社で計画書や申請書を作成して申請することが可能です。
通年で募集されている制度が多いですが、申請を行う場合には、取組み終了後の2か月以内が締切とされているものが多い点にも注意が必要です。
また、原則として、助成金の代理申請を行うことができる士業は、社会保険労務士に限られています。
自社で助成金の受給申請を行うことが難しい場合には、助成金業務に特化した社会保険労務士も多く存在しますので、是非プロに相談することをオススメいたします。
市場開拓に関する補助金・助成金を有効活用しよう!
今回は、市場開拓に活用することができる補助金・助成金を3つと、補助金・助成金を活用するメリット、デメリットなどについて解説いたしました。
補助金・助成金をうまく活用することで、自社のビジネスチャンスを大きく広げることができます。
市場開拓を考える経営者の方は、積極的な活用を検討してください。
また、補助金・助成金の申請業務に特化した士業も数多く存在します。
経営計画の作成、自社の課題解決に向けた制度の提案など、事業拡大に向けたサポートを受けることができますので、補助金・助成金に興味のある経営者の方は、まずは専門家へと相談されてみてはいかがでしょうか。