少子高齢化や人口減少が進み地域コミュニティが衰退すると、大都市への人口流出は避けられません。現状、こうした人口の偏りが原因となり、地域間格差がさらに広がっています。
しかし、地域が抱える課題を明らかにし、地域の特性を活かして新たな価値、発信するためには資金が必要ですよね。
今回は、地域活性化に活用できる補助金・助成金を6つ選んで紹介します。魅力的なまちづくりのため、ぜひ参考にしてください。
地域活性化のために活用できる補助金・助成金とは
融資であれば返済の必要がありますが、補助金・助成金は原則返済の必要がないため、新たな事業にチャレンジする際に活用しやすい支援制度です。
地域活性化に活用できる補助金・助成金は、中小企業庁、J-net21(中小企業基盤整備機構)、一般財団方針地域活性化センターなどが実施しています。
大都市への人口流出が元で、地域の労働者は減少傾向にあります。優秀な人材を地域に定着させることを目的とした人材雇用に関する助成金や、税制支援や事業再生といった制度が多くみられます。
地域活性化のために利用できる補助金一覧
今回紹介する、地域活性化のために利用できる補助金・助成金は、地方拠点強化税制、中心市街地に対する税制支援措置・定利融資制度、地域雇用開発助成金、中途採用等支援助成金、事業再生支援資金、地域中小企業応援ファンドです。
補助金・助成金だけではなく融資も含まれていますが、地域活性化の取り組みに活用しやすいものを選んでいます。
自社の課題にあった制度選びの参考にしてください。
地方拠点強化税制(地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の作成等)
「地方拠点強化税制」は課税の特例等の優遇措置を講じ、良質な雇用を創出することで、地方へ人を流入させることを目的とした制度です。
対象地域に本社機能を持つ施設を整備する事業者を対象とした拡充型と、東京23区から地方へ本社機能を移転させる事業者を対象とした移転型が設けられています。
制度の利用には、事業計画を策定し、都道府県知事の認定を受ける必要があります。
対象者 | 1.拡充型:地方において本社機能を拡充する事業者2.移転型:東京23区から地方に本社機能を移転する場合 |
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給付額 | 優遇措置 (※詳細については、移転・拡充先として検討している自治体に確認してください。 )< 移転型事業 >
■オフィス減税 【具体例】 取得価額9,000万円のオフィスを新築 特別償却:2,250万円 又は 税額控除:630万円の優遇! ■雇用促進税制 1人あたり最大90万円(50万円+上乗せ分40万円 )の税額控除 ・上乗せ分40万円は最大3年間継続 【具体例】 地方の本社機能において、事業初年度に10名の無期雇用かつフルタイムの者を新規採用 税額控除:1,700万円(50万円×10人+40万円×10人×3年)の優遇! ※雇用促進税制とオフィス減税合わせて当期法人税額の20%が限度となり、同一年度において、 雇用促進税制(基本部分)とオフィス減税の併用はできません。上乗せ分については併用可能です。 法人全体の雇用者増加数が上限 ※2 転勤者の場合は1人あたり80万円 特定業務施設の所在地が近畿圏及び中部圏の中心部である場合は30万円 < 拡充型事業 > ■オフィス減税 【具体例】 取得価額9,000万円のオフィスを新築 特別償却:1,350万円 又は 税額控除:360万円の優遇! ■雇用促進税制 1人あたり最大30万円※2の税額控除 【具体例】 地方の本社機能において、10名の無期雇用かつフルタイムの者を新規採用 税額控除:300万円(30万円×10人)の優遇! ※雇用促進税制とオフィス減税合わせて当期法人税額の20%が限度となり、同一年度において、 雇用促進税制(基本部分)とオフィス減税の併用はできません。 ※1 法人全体の雇用者増加数が上限 転勤者の場合は1人あたり20万円 |
申請期間 | 令和4年度 税制改正 2年間延長され、「2024年(令和 6年) 3 月31日までの期間内に地方活力向上地域特定業務施設整備計画の 認定を受けた場合」までとなる(地域再生法等の改正を前提)。 |
中心市街地に対する税制支援措置・低利融資制度
「中心市街地に対する税制支援措置・低利融資制度」は、中小市街地と定められた地域において、地域活性化に意欲的に取り組む事業者が税制の優遇、低利融資などの支援を受けられる制度です。
税制支援措置は、土地を対象とした際の譲渡所得が免除されます。
低利融資制度は、対象地域のショッピングセンターへの入居や新分野への進出など、中心市街地の活性に繋がる事業に対しての資金繰りに活用することができます。
対象者 | 【税制支援】 中小小売商業高度化事業のために土地を譲渡した者【低利融資】 中心市街地関連地域で卸売業、小売業、飲食サービス業、サービス業および不動産賃貸業を営む方 |
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給付額 | 【税制支援】 土地を譲渡した際の譲渡所得の特別控除個人または法人が中心市街地活性化法に規定する中小小売商業高度化事業のために土地を譲渡した場合、当該土地の譲渡所得から1,500万円を特別控除します。【低利融資】 貸付限度額・中小企業事業:7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)・国民生活事業:7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
申請期間 | 2021年4月1日〜2022年3月31日 |
地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)
労働者の確保が難しい地方において、事業所の設置や整備、設備の増設を行ったり、創業したりするなどして、地域に住む求職者の雇用に取り組む事業者を助成する制度に、「地域雇用開発助成金」があります。
雇用構造を改善することで大都市への人の流出を防ぎ、地域を活性化することを目的としています。
計画期間内に設置・整備した事業所の費用と、新たに雇い入れた対象労働者の人数により支給金額が変動します。
対象者 | □「計画書」を提出した日から「完了届」を提出した日までの間 ( 最長18カ月 )に事業所の事業の用に供する施設又は設備の設置・整備 ( その費用の合計額が 300 万円以上 ) を行う事業主であること。□設置・設備事業所における完了日における雇用保険一般被保険者数及び高年齢被保険者数が、計画書を提出した日の前日における数から3人(創業の場合は2人)以上増加していること。
□設置・整備に伴い、ハローワーク等の紹介により沖縄県内に居住する求職者を雇用保険の一般被保険者及び高年齢被保険者として雇入れ、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が完了日から2年後の日以降まであることが確実である労働者として3人以上(新規創業の場合は2人以上)雇い入れた事業主であること。 ※対象労働者の1/3以内であれば、新規学卒者も支給対象労働者になります。 □設置・整備及び雇入れを行う事業所が雇用保険の適用事業所であること。 □地域の雇用構造の改善に資する事業主であること。 (その他沖縄労働局長が別途定めた風営法関連事業主等を除く。) |
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給付額 | 設置・整備に要した費用及び対象労働者の数に応じて下表の定額を、1年ごとに最大3回まで支給。*中小企業の場合は、1回目の支給時のみ支給額の1/2の金額を上乗せして支給。
*創業と認められた場合は、1回目の支給時のみ()内の額の倍額を支給。 生産性要件を満たさない事業主に対しては左側の額(基本額)を、満たした事業主に対しては掲げる額の右側の額を支給。
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申請期間 | 地域により異なる・計画期間 (計画書の提出から事業所の設置・整備及び雇入れ 完了まで)は最大 18 か月 ※2 ハローワーク、地方運輸局、助成 |
中途採用等支援助成金(UIJ ターンコース)
「中途採用等支援助成金」のUIJターンコースは、東京圏からの移住者を雇い入れた事業者に対して、採用活動に要した費用の一部を助成する制度です。
就職説明会等を実施する際の、採用担当者の交通費や宿泊費が助成対象となります。
受給要件で指定される求職者は、地方公共団体が運営するマッチングサイトに掲載された求人へ応募した者のみである点に注意が必要です。
対象者 | 東京圏からの移住者を雇い入れた事業主 |
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給付額 | 企業規模に応じて、助成対象経費の合計額に、下表の助成率を乗じた額を支給します。■中小企業 助成率1/2 上限100万円
■中小企業以外 助成率1/3 上限100万円 |
申請期間 | 採用計画書の提出日の翌日から3ヵ月いないの範囲で計画期間の始期を設定。計画期間は6ヶ月以上12ヶ月いないで設定。計画期間の終期から2ヶ月以内に支給申請書を提出 |
事業再生支援資金
「事業再生支援資金」は、民事再生法の規定に則り再生手続き開始の申し立てを行った方や、再生計画の認可決定などを受けた方や私的整理を行う方に対して、事業再建を行うために必要な資金の貸付を行う制度です。
事業再建のための設備資金や長期運転資金が融資の対象となります。
地域経済活性化への貢献度や技術力などを鑑み、有用であると判断させた場合に融資が可能となります。
対象者 |
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給付額 | 融資限度額 直接貸付 7億2千万円(うち運転資金2億5千万円) |
申請期間 | 地域や型により異なる |
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
「地域中小企業応援ファンド」のスタート・アップ応援型は、新事業の展開を図る事業者が、都道府県や地域金融機関などが一体となり組成するファンドから、資金や経営の支援を受けることができる制度です。
地域活性化を目的としており、地域資源を活用した地域密着型の新事業を展開、または創業する中小企業者等が対象となります。
対象者 |
地域密着型の事業で、地域コミュニティへの貢献度が高い新たな事業への取組、地域資源を活用 した初期段階の取組など、地域経済の活性化に資する中小企業者の方など |
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給付額 | 各都道府県により異なる |
申請期間 | 各都道府県により異なる |
補助金と助成金の違い
補助金は申請しても必ず支給されるとは限らず、審査を受けて承認される必要があります。助成金は、基本的に申請すれば支給されるため、補助金に比べ採択の難易度は多少低くなっています。
補助金とは
補助金の支給には、制度にもよりますがまずは事業計画を立てる必要があります。その後、計画通りに取り組みを実施し、一定以上の成果を上げ審査に通った場合にのみ補助金が支給されます。
メリット・デメリット
融資とは異なり、原則返済の必要なく事業資金を得られるのが補助金のメリットです。
比較的種類も多く、支給額が多いのも特徴です。活用用途が幅広く設定されているため、自社の事業にあった制度を選びやすいです。
デメリットは、公募期間が短く、申請しても支給されない可能性がある点です。
また、支給までの時間が長く、それまでの間は自社で資金繰りをして策定した事業計画を実施しなければいけないため、少々ハードルが高いです。
補助金の申請方法
自社の事業に適した補助金を見つけ、公募要領や申請書を確認の上、申請書の作成と必要書類一式を用意し、事務局に提出する必要があります。
提出方法は書面の郵送または電子申請がありますので、制度ごとに確認が必要です。
助成金とは
助成金も融資ではなく、原則返済の必要のない金銭支援制度です。雇用の創出や人材育成を目的とした制度が多く見られます。
補助金とは異なり、申請期間の定めがなくいつでも申請可能な制度が多く、要件を満たした状態で申請すれば高確率で支給される点が特徴です。
メリット・デメリット
要件を満たしていればほぼ確実に支給される点が、助成金の大きなメリットです。また助成金は申請期間の定めがないため、いつでも応募できます。ただし、利用者が多い場合早めに締め切られることも多いため注意が必要です。
補助金同様に助成金も支給までの期間が長い点はデメリットです。計画的に活用しましょう。
助成金の申請方法
申請したい助成金を決め、申請書を作成します。
申請書の提出後は助成対象期間が設けられ、その間の取り組みに要した経費が助成金の対象となります。
期間終了後、報告書を作成し提出、審査を通れば助成金が支給されます。
地域活性化に関する補助金・助成金を有効活用しよう!
魅力的な地域資源や事業計画があっても、資金や労働力の問題から実行に移せないという事業者は多いですよね。
一過性ではなく継続的な地域の活性には、地域資源の活用や地方の安定した雇用機会の創出が欠かせません。
今回紹介した補助金・助成金は、新事業展開や創業の資金繰りの大きな助けとなり、地方であっても優秀な人材を確保しやすくなるなど、事業者の助けとなる制度ばかりです。
魅力的なまちづくりのため、補助金・助成金を有効活用しましょう。