政府より個人事業主が活用できる新型コロナウイルス感染症に関連する補助金・助成金が交付されています。
その中でも特に個人事業主が対象であり、販路開拓や資金繰りなど、幅広い方が活用しやすいであろう補助金・助成金を11個選んで紹介します。
個人事業主にとって補助金・助成金は、新たなビジネスモデルの構築や新市場の開拓、IT導入による生産性の向上、雇用の促進や働き方改革、一時的な回転資金や生活のための費用を補うことができ、多くのメリットがあります。
販路開拓
小規模事業持続化補助金(低感染リスク型ビジネス枠)
「小規模事業持続化補助金」は、中小企業・小規模事業者等が、事業継続と新型コロナウイルス感染症対策防止の両立を行うための対人接触機会の減少に資する前向きな投資と、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスモデルの構築を支援することを目的とした制度です。
過去には、飲食店などの店舗の大部屋を個室ボックスに改装したり、タッチパネルやセルフレジの導入により本補助金が採択された事例があります。
対象者 | 宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業 (常時使用する従業員の数 5人以下) 宿泊業・娯楽業 製造業その他 ※常時使用する従業員には、会社役員や個人事業主本人、一定条件を満たすパートタイム労働者は含みません |
---|---|
給付額 | 補助率3/4 補助上限額100万円 |
申請期間 | 第1回受付締切日 2020年 3月31日(火)(郵送:締切日当日消印有効) 第2回受付締切日 2020年 6月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第3回受付締切日 2020年 10月2日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第4回受付締切日 2021年 2月5日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第5回受付締切日 2021年 6月4日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第6回受付締切日 2021年10月1日(金)(郵送:締切日当日消印有効) 第7回受付締切日 2022年 2月 4日(金)(郵送:締切日当日消印有効) |
IT化
IT導入補助金
「IT導入補助金」は、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を目的とするIT導入支援を目的とした制度で、個人事業主にとって活用しやすい補助金です。
煩雑になりがちな会計処理やタスク管理等にIT技術を導入することで、生産性の向上や人員不足を図ることができる他、2021年においては今後導入されるインボイス制度の導入対策として本制度が注目されており、個人事業主にとって非常に親和性が高いです。
対象者 | 中小企業・小規模事業者 |
---|---|
給付額 | 最大450万円 |
申請期間 | 2021年 1次締切分 2021年5月14日(金) 2次締切分 2021年7月30日(金) 3次締切分 2021年9月30日(木) 4次締切分 2021年11月17日(水) 5次締切分 2021年12月22日(水) |
資金繰り
月次支援金
「月次支援金」は、2021年4月以降に実施された緊急事態措置・まん延防止等重点措置による時短営業や休業、が萎縮自粛等の影響を受けた中小企業・個人事業主等を支援することを目的とした制度です。
事業の継続や立て直しなど、事業者の各種取組みを支援するための資金(中小企業には20万円、個人事業主には10万円)の給付が行われ、本制度で受け取った金額については返済義務もなく、事業に関する内容であれば自由に活用を行うことが可能です。
対象者 | 対象月の緊急事態措置又はまん延防止等重点措置(以下「対象措置」という。)に伴う飲食店の休業・時短営業又は外出自粛等の影響を受けており、2021年の月間売上が、2019年又は2020年の同月比で50%以上減少した事業者 |
---|---|
給付額 | 給付額 =2019年又は2020年の基準月の売上ー2021年の対象月の売上
中小法人等 上限20万円/月 |
申請期間 | 4月・5月分:2021年 6月16日~8月15日 6月分:2021年 7月1日~8月31日 7月分:2021年 8月1日~9月30日 8月分:2021年 9月1日~10月31日 9月分:2021年 10月1日~11月30日 10月分:2021年11月1日~2022年1月7日 ※原則、対象月の翌月から2ヶ月間を申請期間となります |
緊急小口資金
「緊急小口資金」は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け休業等による収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持が必要な世帯に対し、資金の貸付を行うことを目的とした制度です。
従来は10万円以内の範囲内で貸付が行われていましたが、世帯員の中に新型コロナウイルス感染症の罹患者がいる場合や、世帯員が4人以上いる場合などには最大で20万円までの貸付が行われる他、所得の減少が続く非課税世帯に対しては償還が免除される場合もあります。
対象者 | 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、休業等による収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯 |
---|---|
給付額 | 貸付上限額20万円以内 |
申請期間 | 令和4年3月末日 |
総合支援資金
「総合支援資金」は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、失業や収入の減少等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯に対し、生活再建までの間に必要な生活費用の貸付を行うことを目的とした制度です。
無利子・保証人不要で貸付を受けることが可能で、償還期間も10年と長期間に設定されている他、住民税非課税世帯の場合には償還が免除されることもあり、生活困窮者に対してきめ細やかな対応が行われています。
対象者 | 新型コロナウイルスの影響を受けて、収入の減少や失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯 |
---|---|
給付額 | 貸付上限額 ・(二人以上世帯) 月20万円以内 ・(単身世帯) 月15万円以内 貸付期間:原則3月以内 |
申請期間 | 令和4年3月末日 |
傷病手当
「傷病手当金」は、病気等による休業中に被保険者とその家族の生活を保証することを目的とした制度で、個人事業主においては、新型コロナウイルス感染症に感染し、療養のために事業の継続を行うことができない場合に受給することが可能です。
従来、個人事業主が加入する国民健康保険に「傷病手当金」の制度は設けられていませんでしたが、新型コロナウイルス感染症対策の特例として自治体が独自の制度を設置する場合があり、本制度を活用することにより安心して療養に専念することができます。
対象者 | ※以下、北海道赤平市の場合
国民健康保険及び後期高齢者医療の被保険者で 1.給与受給者 2.個人事業主 |
---|---|
給付額 | 1.給与受給者 ・直近の継続した3か月の給与収入の合計額を就労日数で除し、その金額の3分の2を療養日数に応じて支給(日額上限あり) 2.個人事業主 |
申請期間 | 適用期間
傷病手当金及び傷病給付金の支給を始める日が令和2年1月1日から令和3年12月31日の間に属する場合 |
国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援
「国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援」は、新型コロナウイルス感染症の影響により、主たる生計維持者が死亡又は重篤な傷病を負った世帯に対し、国民健康保険料(税)の納付免除や減免を行うことを目的とした制度です。
主たる生計維持者が死亡、又は重篤な傷病を負った世帯は、対象となる期間の全額の保険料の免除を受けられる他、新型コロナウイルス感染症に罹患していないが収入の減少が見込まれる場合にも、本制度の対象となることがあります。
対象者 | 減免対象となる世帯
新型コロナウイルス感染症で主たる生計維持者が死亡または重篤な傷病を負った世帯 ▽新型コロナウイルス感染症の影響で主な生計維持者の事業収入、不動産収入、山林収入または給与収入の減少が見込まれ、①事業収入が30%以上減少②合計所得金額1千万円以下③所得以外の前年所得合計額が400万円以下の要件に全て該当する世帯 |
---|---|
給付額 | 新型コロナウイルスに関わる国保料・税の減免制度 主な生計維持者の前年所得金額→減免割合 300万円以下→100% 400万円以下→80% 550万円以下→60% 750万円以下→40% 1000万円以下→20% |
申請期間 | 2021年4月から2022年3月31日までに納期限がある、21年度分の国保料・税 (申請期間不明) |
住居確保給付金(家賃補助)
「住宅確保給付金(家賃補助)」は、主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合や、給与等を得る機会が離職・廃業と同程度まで減少する等の一定の要件を満たした場合において、各市町村毎に定める金額を上限に、実際の家賃額の支援を行うことを目的とした制度です。
求職活動を行うことが受給のための条件となり、職業相談等を怠った場合などには本制度の適用を受けられなくなる場合等あるため、注意が必要です。
対象者 | 主たる生計維持者が
①離職・廃業後2年以内である場合 もしくは ②個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合 求職活動要件として (1)の②の場合 |
---|---|
給付額 | 各自治体毎に異なる。※以下、東京都特別区の場合 世帯の人数が 1人の場合:53,700円 2人の場合:64,000円 3人の場合:69,800円 |
申請期間 | 令和4年3月末日 |
人材育成・雇用
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症特例措置)
「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症特例措置)」は、新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、「事業活動の縮小」を余儀なくされた場合に、労使間の協定に基づき、従業員の雇用維持を目的として「雇用調整(休業等)」を実施する事業主に対し、休業手当などの一部を助成する制度です。
雇用調整には、出向による雇用維持が含まれる場合がある他、事業活動の縮小として比較する売上についても特例措置が設けられるなど、雇用維持のために柔軟な制度運用が行われています。
対象者 | 新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置では、以下の条件を満たす全ての業種の事業主を対象としています。
1.新型コロナウイルス感染症の影響により経営環境が悪化し、事業活動が縮小している 2.最近1ヶ月間の売上高又は生産量などが前年同月比5%以上減少している(※) ※比較対象とする月についても、柔軟な取り扱いとする特例措置があります。 3.労使間の協定に基づき休業などを実施し、休業手当を支払っている |
---|---|
給付額 | 全企業共通(※令和4年1月以降は、施行にあたって厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点での予定です。)
判定基礎期間の初日→一人一日あたりの上限額 ・令和3年12月まで→13,500円〜15,000円 ・令和4年1月・2月(予定)→11,000円〜15,000円 ・令和4年3月(予定)→9,000円〜15,000円 |
申請期間 | 令和3年5月〜 |
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金
「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」は、新型コロナウイルス感染症や、そのまん延防止の措置の影響により休業させられた労働者のうち、休業中に賃金(休業手当)を受けられなかった方に対し、休業支援金・給付金の支給を行うことを目的とした制度です。
営業自粛によりシフト日数が減少した方、時短営業などで勤務時間が短くなった方でも本制度の活用を行うことが可能で、労働者本人が直接支給申請を行うこともできます。
対象者 | 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延のための措置の影響により、
(1)令和2年10月1日から令和3年12月31日までに事業主が休業させた中小企業の労働者で、その休業に対する賃金(休業手当)を受け取っていない者 (2)令和2年4月1日から令和2年6月30日まで及び令和3年1月8日(令和2年11月7日以降に時短要請を発令した都道府県はそれぞれの要請始期以降)から令和3年12月31日までに事業主が休業させた大企業のシフト労働者等のうち、休業期間中の賃金(休業手当)の支払いを受けることができなかった労働者 |
---|---|
給付額 | 休業前の1日当たり平均賃金 × 80%(※1) × (各月の休業期間の日数 – 就労した又は労働者の事情で休んだ日数)
※1 1日当たり支給額(9,900円(※2)(令和3年4月までは11,000円)が上限) ※2 緊急事態措置又はまん延防止等重点措置を実施すべき区域の知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する新型インフルエンザ等対策特別措置法施行令第11条に定める施設(飲食店等)の労働者については、令和3年5月1日〜令和3年12月31日の期間において11,000円。 |
申請期間 | (1)中小企業にお勤めの方 休業した期間→締切日(郵送の場合は必着) ・令和2年10月〜令和3年9月→令和3年12月31日(金) ・令和3年10月〜11月→令和4年2月28日(月) ・令和3年12月→令和4年3月31日(木) (2)大企業にお勤めの方 |
事業承継
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上減少や業態転換を余儀なくされた中小企業や個人事業主等に対して、大胆な事業の再構築や新市場開拓を支援することを目的とした制度です。
過去には、民泊から旅館業への転換による地域密着型の宿泊業の展開や、飲食店経営で培ったノウハウを高齢者配食事業に活用した新市場の開拓などによる採択事例もあり、事業承継を行いたいと考える個人事業主からの注目を多く集めています。
対象者 | 日本国内に本社がある法人で、中小企業者等及び中堅企業に限ります |
---|---|
給付額 | 1.中小企業(通常枠) ・補助率2/3 ・補助額 【従業員数20人以下】100万円~4,000万円 【従業員数21~50人】100万円~6,000万円 【従業員数51人以上】100万円~8,000万円 2.中小企業(卒業枠)(400社に限る) 3.中堅企業(通常枠) 4.中堅企業(グローバルV字回復枠)(100社に限る) |
申請期間 | 第1回公募締切 2021年5月7日18:00 第2回公募締切 2021年7月2日18:00 第3回公募締切 2021年9月21日18:00 第4回公募締切 2021年12月21日18:00 第5回公募締切 2022年3月頃 |