補助金申請の代行って違法じゃないの?

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事業の資金調達に欠かせない補助金ですが、その申請方法は複雑で、受給するには高いハードルを超えなくてはなりません。

本業で忙しい中、補助金申請まで自分で行うのは大変です。そこで補助金の申請代行サービスの利用を考えたものの、それって違法なのでは?と疑問を持った方も多いことでしょう。

この記事では、補助金申請代行サービスの概要と、専門家の種類、サービスの選び方について解説します。

補助金申請の代行は違法ではない

補助金の申請代行は、違法ではありません。

後に詳しく解説しますが、厚生労働省が提供する助成金は、申請書作成や提出が社会保険労務士の独占業務であると法律で規定されているため、社労士以外が申請すると違法となります。

補助金、奨励金や、厚生労働省の管轄ではなく、地域自治体などが独自に提供する助成金については、社労士以外の士業や国家資格を持たないコンサルタントが代理申請することも可能です。

補助金と助成金申請の違い

補助金も助成金も、受給するには申請が必要です。

補助金の申請には、事業計画の策定や申請書類の作成が必要です。

活用できる用途が幅広く、支給額も大きいですが、申請期限が限られており、倍率も高いのが難点です。

また、補助金は法人税が財源ですので、受給には法人税の納付が必須です。

助成金の財源は雇用保険料であるため、雇用保険適用事業者であることが受給の条件です。

補助金とは異なり助成金には審査はなく、要件を満たしていれば受給可能と、申請の難易度は低いです。

助成金の申請代行は社会保険労務士のみ可能

厚生労働省が提供する助成金の財源は雇用保険料であり、雇用保険事業の一環です。雇用保険は社会保険の1種であることから、社会保険労務士法で社労士が専門家であると規定されています。

厚生労働省提供の助成金の申請書作成や提出は社会保険労務士の独占業務とされ、申請代行は社労士のみが可能です。このことについて、詳しく解説します。

補助金と助成金の違い

補助金と助成金の大きな違いは、交付する機関とその目的です。

助成金は厚生労働省や地方自治体が所管しており、人材育成や雇用環境改善の取り組みへの支援を目的としています。基本的に要件に合致していれば受給が可能で、通年申請可能な制度が多いです。

補助金は経済産業省や地方自治体が所管しており、国や地域の政策実現を目的とし、予算を組んで交付されています。助成金と比べ補助の対象となる経費の用途が幅広いといったメリットがありますが、審査があり、申請すれば必ず採択されるとは限らない点に注意が必要です。

社会保険労務士とは

社会保険労務士とは、社会保険や労務を専門とする、厚生労働省管轄の国家資格保有者です。

事業の健全な発展と労働者の福祉向上を目指し、雇用、社会保険、公的年金の相談や、労働問題など、企業の人材に関する分野を取り扱います。

厚生労働省所管の健康保険や雇用保険、厚生年金などに関する書類の作成及び提出の代行は、社労士の独占業務です。

独占業以外では、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成や、人事労務管理のコンサルティングが主な業務内容となります。

補助金申請の代行サービスを行っている専門家の種類

どのような専門家が、補助金申請の代行サービスを行っているのでしょうか。

補助金の申請には、戦略的な事業計画の策定や、お金に関する専門的な知識が必要となります。それなら、補助金申請を有利に進められる専門家に代行を依頼したいですよね。

ここでは、補助金申請代行サービスを行っている専門家の種類について解説します。

税理士

事業を営む方の多くが経理や経営のアドバイスを依頼する税理士も、補助金申請代行サービスを行っていることが多いです。

税務を専門とする税理士は、税制だけではなく補助金や融資などお金に関する知識も豊富で、補助金受給後の会計管理も任せられる点が大きなメリットです。

中小企業に対して税務、金融、企業財務に関する専門性の高い支援を行う事業者を支援する「認定経営革新等支援機関」に認定された税理士は、補助金申請時に必要な事業計画の策定から相談できる点も強みです。

中小企業診断士

中小企業向けの経営コンサルタントを専門とする中小企業診断士は、事業計画の策定を得意としています。そのため、補助金申請時に有利な事業計画について相談でき、採択率の向上が期待できます。

税理士に次いで中小企業診断士に経営サポートを依頼している中小企業は多く、補助金申請代行を専門とする診断士も多いことから、補助金申請代行について比較的依頼しやすい専門家と言えるでしょう。

行政書士

行政書士は、公的機関に提出する書類の作成代行を専門とした国家資格保有者です。よって、補助金申請の書類作成代行も行政書士の得意分野となります。

補助金申請の高いハードルは、事業計画の策定と複雑な申請書類の作成です。補助金申請代行を請け負う他の専門家は、コンサルティングサービスのみを提供して書類作成については依頼者自身に行わせる場合も少なからずあり、途中で断念してしまう事業者も多いです。

その点行政書士は、相談から申請書の代筆まで一任できる可能性が高いといったメリットがあります。

補助金申請代行サービスの選び方のポイント

補助金の申請が採択されるには、事業計画と申請書類の内容が重要です。しかし、本業の傍ら事業者自身がそれら全てを用意するのは難しいものです。

補助金申請代行サービスを利用すれば、採択率を高めつつ効率よく申請することができます。

ここでは、補助金申請代行サービスの選び方のポイントを解説します。

補助金申請の実績が豊富

繰り返しになりますが、補助金の申請が採択されるか否かは、事業計画と申請書類の内容が全てと言って過言ではありません。

補助金申請の経験が少ない代行サービスでは、複雑な申請を行う際に対応しきれない可能性があります。

採択率を高めるため、経験と実績が豊富な専門家が在籍している補助金申請代行サービスを選びましょう。

実績についてはホームページで確認できる場合が多いですが、疑問が残る場合は電話などで直接問い合わせるとよいでしょう。

費用が明確

助成金とは異なり、補助金は申請したからと言って必ず受給できるとは限りません。受給できなかった場合に費用を全額返金してくれる代行サービスもありますが、手付金や手数料は返金されないことが多いです。

例えば、費用を総額で請求する代行サービスがあったとします。具体的な内訳を知らなければ、不採択でも請求通りに支払わなければいけなくなってしまいます。

後のトラブルを防ぐため、費用を明確に提示している代行サービスを選ぶことが大切です。

専門家の信頼性

補助金は、申請から受給まで長い期間を要するため、補助金申請代行サービスの信頼性は非常に重要です。

事業計画など企業秘密に該当する内容の相談をする必要もあるため、信頼できる代行サービスを選ぶ必要があります。

その点、国家資格を保有する士業には、職業倫理の中に守秘義務が組み込まれているため安心です。

ホームページに掲載されている情報を鵜呑みにせず、直接会って専門家の素性を確認するなどして、信頼できる代行サービスを選びましょう。

違法な申請代行サービスには注意しよう!

厚生労働省所管の助成金の申請は社労士以外が行うと違法になりますが、それ以外の助成金や補助金の申請代行サービスは違法でないことがわかりましたね。

ですが、補助金申請代行サービスの中には、申請の経験や実績が少ない業者や、費用が不明確であったり、信頼性に乏しかったりといった業者も存在するため注意が必要です。

補助金申請を効率よく適切に行うため、この記事を参考に、あなたの事業にあった申請代行サービスを選んでくださいね。